2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590506
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 範子 秋田大学, 医学部, 教授 (10222944)
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
岩田 豊人 秋田大学, 医学部, 助手 (00321894)
|
Keywords | ベンチマーク・ドース(BMD) / 環境有害因子 / 鉛 / デルタアミノレブリン酸 / 貧血 / エタノール / 肝細胞傷害 |
Research Abstract |
鉛、PCB、メチル水銀、カドミウム、有機溶剤等による非顕性健康影響として、中枢神経機能(鉛・有機溶剤、メチル水銀)や血液生化学データ(PCB,カドミウム)への影響を調べ、環境有害因子の非顕性の健康影響を引き起こす臨界濃度(BMD)を算出することを目的とした。今年度は、貧血およびデルタアミノレブリン酸ALAに及ぼす鉛影響、聴性脳幹誘発電位に及ぼすメチル水銀影響、有機溶剤の自律神経系(心拍変動係数)、慢性飲酒(エタノール)の肝機能に及ぼす影響について調べ、その一部を論文として報告した。 男性鉛作業者186名(血中鉛濃度2.1〜62.9μg/dl)のデルタアミノレブリン酸脱水酵素(ALA-D)活性は血中鉛濃度の増加に伴い活性レベルが低下し、この影響が現れ始める血中濃度(benchmark doseの95%信頼下限値、BMDL)は2〜3μg/dl付近と推定した。また、血漿、血中および尿中ALA濃度は血中鉛濃度が約45μg/dlを超えるとバラツキが急激に大きくなることから、その濃度付近からALA合成酵素(ALA-S)の急激な活性亢進が始まる可能性について示唆するとともに、このALA-Sの影響を避けるために血中鉛濃度45μg/dl以下の鉛作業者のみで解析し、ALAの増加し始める濃度(BMDL)が2.9〜6.8μg/dlであった。 男性鉛作業者388名(血中鉛濃度1〜115、中央値22μg/dl)において、ヘモグロビン(r=-0.240,p<0.001)、赤血球数(r=-0.237,p<0.001)およびヘマトクリット(r=-0.201,p<0.001)が有意な量-依存関係を示し、これらの影響が現れ始める血中鉛濃度(BMDL)を各々19.2μg/dl、19.7μg/dlおよび29.4μg/dlと推定した。 秋田県内の男性販売員3,400名に習慣的飲酒量に関する自記式質問紙を配布し、1,244名から回収した。職域定期健康診断で測定された肝機能(AST、ALT、GGT)とID番号から照合した。100%エタノール換算摂取量(0〜1,366g/週)と肝機能の間には有意な正の関係が見られ、AST、ALT、GGTに対する一週間当たりの飲酒量閾値(BMD)は453g、983g、290gであった。これより、健常日本人男性の肝細胞傷害が現れ始める飲酒量は1日当たり50g前後であると推定された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Murata K, et al.: "Critical dose of lead affecting δ-aminolevulinic acid levels"Journal of Occupational Health. 45. 209-214 (2003)
-
[Publications] Murata K, et al.: "Delayed brainstem auditory evoked potential latencies in 14-year-old children exposed to methylmercury"Journal of Pediatrics. 144. 177-183 (2004)
-
[Publications] Grandjean P, Murata K, et al.: "Cardiac autonomic activity in methylmercury neurotoxicity : 14-year follow-up of a Faroese Birth Cohort"Journal of Pediatrics. 144. 169-176 (2004)
-
[Publications] Dakeishi M, Murata K, et al.: "Effects of alcohol consumption on hepatocellular injury in Japanese men"Tohoku Journal of Experimental Medicine. 202. 31-39 (2004)
-
[Publications] 嶽石美和子, 村田勝敬, 他: "仏壇製造に従事する女性労働者における有機溶剤曝露による自律神経機能への影響"産業衛生学雑誌. 45. 194-196 (2003)
-
[Publications] Nakao M, Yano E: "Reporting of somatic symptoms as a screening marker for detecting major depression in a population of Japanese white-collar workers"Journal of Clinical Epidemiology. 56. 1021-1026 (2003)