2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー血流画像化装置による新しい末梢循環動態観察法に関する基礎および応用的研究
Project/Area Number |
15590511
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50197935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30316088)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40295811)
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 看護短期大学部, 教授 (70264877)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 看護短期大学部, 教授 (40168018)
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Keywords | 振動障害 / レーザー血流画像化装置 / 冷水浸漬試験 / 末梢循環機能 |
Research Abstract |
手持ち振動工具の取扱者に認められる手指の末梢循環障害の診断に対しては、常温下と冷水浸漬試験による皮膚温の測定が実施されるが、末梢循環障害を来す病態は複雑であり、かつ手指の比較的広い範囲に異なる症度で出現するため、それらを客観的に捉えることは困難である。そこで我々は、レーザー光をスキャンさせることで、皮膚の一定領域における微小循環動態を画像イメージとして視覚的に捉えることができるレーザー血流画像化装置を応用して様々な試みを行ってきた。 本年度は、まず、冷水浸漬試験中の手指皮膚血流の測定に対して、測定肢位の条件や冷水浸漬に伴う水の物理的介在、水温や水深などが測定値に及ぼす影響を検討した。その結果、手指を水に浸漬した場合、手指皮膚血流は水の静水圧などで非浸漬時よりもわずかに減少するものの、その変化量は水温を生理的不感温度の34℃から10℃に低下させたときに比べて軽微であった。また、測定肢位を心臓位、心臓位から10cm、20cm下方に変化させた場合にも差はほとんど認められなかった。 続いて、健常な成人男性を対象に、冷水浸漬に伴う手指の微小循環の生理的応答を明らかにするとともに、従来の検査法である皮膚温との互換性について検討した。その結果、皮膚温はlO℃水の冷水浸漬によって浸漬終了まで徐々に低下し、終了とともに緩やかに回復する変化を示したのに対して、手指皮膚血流は浸漬直後には急激に減少するものの、その後は浸漬終了まで緩やかに漸増した。さらに、終了後は速やかに回復し、約5分後には浸漬前のレベルにまで達していた。 以上、レーザー血流画像化装置は冷水浸漬試験中の手指の微小循環動態を精度よく捉えることが可能であると考えられた。また、手指皮膚血流は皮膚温と良好な相関を示すものの、冷水刺激に対して皮膚温よりも鋭敏に反応する変化がみられ、振動障害に認められるような、寒冷刺激で誘発される手指の末梢循環障害をより客観的に評価できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 寺田和史, 冨田耕太郎 他: "レーザー血流画像化装置を用いた末梢循環動態の評価に関する基礎的研究"日本衛生学雑誌. 58巻1号. 139 (2003)
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[Publications] 坂口俊二, 冨田耕太郎 他: "手持ち振動工具取扱い者の指尖容積脈波による自律神経機能の評価分析"産業衛生学雑誌. 45巻. 539 (2003)