2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の発癌に関わる化合物について-その化学構造と毒性
Project/Area Number |
15590518
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉田 香 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10336787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 孝一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30158886)
圓藤 吟史 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)
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Keywords | ヒ素 / 大腸菌 / 代謝 / 腸内細菌 / システイン / LC-ICP-MS / LC-MS / 細胞毒性 |
Research Abstract |
ヒ素は自然環境中や生体内に広く存在する元素であり、毒性の高い物質として知られており、ヒトにおいて皮膚や肺における発癌物質であると認められている。しかし、その発癌メカニズムや究極の発癌物質についてはわかっていない。これまでの研究で、我々はジメチルアルシン酸(DMAV)をラットに長期間投与し、その尿および糞中より未知ヒ素代謝物(M1、M2、M3)が検出されることを報告した。さらに、これらの代謝物の生成には大腸菌A3-6が関わっており、M2、M3はDMAVから、M1はトリメチルアルシンオキサイド(TMAO)から大腸菌により生成されることを明らかにした。また、この反応はシステイン(Cys)要求性であることも明らかにした。今年度はこのM1、M2、M3の生成のされ方およびその毒性について調べた。また、生成したM2の化学的特性についてもLC-ICP-MSおよびLC-MSで調べた。 大腸菌によるM2の生成はDMAVに対しCysの比が2〜3の時に最大であり、M3の生成は3〜4の時に最大であった。また、DMAVジメチルアルシナス酸(DMAIII)を経てM2、M3と変わっていくことが明らかになった。一方、M1の生成はすばやく起こり、TMAOに対しCysが2〜3の時に最大であった。DMAVに対しCysの比1〜3の時に大腸菌より生成される代謝物は非常に強い細胞毒性を示した。このことはM2が非常に強い毒性を示すことを示唆している。また、この毒性はSOD添加により軽減されることより、毒性発現にはROSが関与することが示唆された。 次に、M2の化学的特性を調べた。M2は過酸化水素による酸化によりDMAVにもどること、DMAVと還元剤との反応物に一致することがわかった。以上のことよりM2は3価のDMA関連化合物であることが示唆された。また、分子量154でイオウを1つ含む化合物であることも明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Zhou, X., Yoshida, K., Kuroda, K., Endo, Y., Endo, G.: "Effects of cysteine on the cytotoxicity of arsenic compounds"Arch.Environ.Contam.Toxcol.. 45. 324-330 (2003)
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[Publications] Yoshida, K., Kuroda, K., Zhou, X., Inoue, K., Date, Y., Wanibuchi, H., Fukushima, S., Endo, G.: "Urinary sulfur-containing metabolite produced by intestinal bacteria following oral administration of dimethylarsinic acid to rats"Chem.Res.Toxicol.. 16・9. 1124-1129 (2003)