2004 Fiscal Year Annual Research Report
臭化メチル代替物質による文化財燻蒸作業者における健康影響調査
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15590520
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
田中 茂 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60171758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 哲生 信州大学, 医学部, 助教授 (70286441)
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Keywords | 臭化メチル代替物質 / プロピレンオキシド / ヨウ化メチル / フッ化スルフリル / エチレンオキシド / パッシブサンプラー / リアルタイム測定 |
Research Abstract |
臭化メチルは、モントリオール議定書締約国会議によりオゾン層破壊物質として指定され、2005年1月から文化財燻蒸用の生産が禁止された。臭化メチルの代替物質としての研究が行われ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ヨウ化メチルやフッ化スルフリルが候補にあげられた。本研究は、臭化メチルの代替物質に対する文化財燻蒸作業者の曝露評価を中心に実施した。ヨウ化メチルにおける個人サンプラーによる測定結果として、投薬(幾何平均値(GM)1.82ppm、23.07〜0.30ppm)漏洩チェック&追加投薬作業(12.4ppm、33.90〜0.40ppm)ガス抜き作業(6.16ppm、11.40〜2.08ppm)と、多くのデータが基準値(TLV-TWA)2ppmを超える結果であった。プロピレンオキシドでは投薬(0.52ppm、2.78〜0.19ppm)漏洩チェック&追加投薬作業(0.67ppm、1.30〜0.39ppm)ガス抜き作業(2.39ppm、18.96〜0.50ppm)と、ガス抜き以外では基準値(TLV-TWA)5ppmを下回る結果であった。作業者の曝露の指標として尿中ヨウ素(ヨウ化メチル)とフッ素(フッ化スルフリル)の分析を実施したが、ヨウ素の結果からヨウ化メチル曝露を示唆する高濃度の結果が得られた。 これら燻蒸剤による曝露濃度の違いは、1燻蒸剤の沸点が異なり、沸点の高いヨウ化メチルが既存の気化器では気化しにくく、その調整で作業者が曝露していたことにより、気化器の開発が必要であると思われた。2 燻蒸剤の投薬前の目張り技術が燻蒸会社により異なり、その結果、投薬すると多量の漏洩が発生し、追加投薬を行うことが多く見られた。それ故、これらの代替物質の使用に伴う作業者曝露軽減するためには、作業マニュアルの作成、環境測定、特殊健康診断項目の決定と実行が必要であると思われた。
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Research Products
(2 results)