2004 Fiscal Year Annual Research Report
パーフォリンノックアウトマウスを用いる有機リン農薬による免疫機能低下の機序の検討
Project/Area Number |
15590523
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
李 卿 日本医科大学, 医学部, 講師 (50250048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永原 則之 日本医科大学, 医学部, 助教授 (10208043)
川田 智之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00224791)
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Keywords | DDVP / Perforin / granzyme / granulysin / Fasligand / Fas pathway / FACS / NK |
Research Abstract |
【目的】本助成の初年度ではPerforin(Pfn)Knockout(PKO)マウスを用いて有機リン農薬DDVPがFas ligand/Fas pathwayにも影響を及ぼすことを明らかにした。2年目では、以下の3点を目的とした。 1.有機リン農薬によるPKOマウスのFasL/Fas pathwayへの影響のメカニズムを解明する。 2.なぜNK活性が有機リン農薬に阻害されやすく、LAK活性が阻害されにくいのかを解明する。 3.なぜ有機リン農薬に対してマウスNKとヒトNKの反応性が異なるのかを解明する。 【材料と方法】(1)動物:本研究ではC57BL/6マウスを用いた。(2)有機リン農薬:DDVPを用いた。(3)FasL/Fas pathwayへの影響:マウスのLAKにDDVPを添加し、FACS法で評価した。(4)マウスのLAK及び脾細胞(NK)におけるPfhとGranzyme(Gr)の発現:RT-PCRで測定した。(5)ヒトNK,T及びLAKにおけるPfn、Gr及びGranulysin(GRN)の発現:RT-PCR及びFACS法で測定した。 【結果と考察】(1)DDVPはLAK表面のFasL及び標的細胞YAC-1表面のFas抗原を有意に減少させた。(2)マウスのLAKにおいてはPfn及び各Grの量はGrA>G=B>E=D>F=Pfn>C>M>Kの順に対して脾細胞においてはPfn及び各Grの量はGrA>Pfn>B>K>M>E>G>D>F>Cの順であった。両細胞における各Grの相対量の違いがそれらの有機リン農薬に対する反応性を決定したと考えられる。(3)ヒトにおいては各細胞のmRNAの量はPBL(NK)ではGrH>B>A>3>Mの順で、LAKではGrB>A>H>3>Mの順であった。以上の結果からDDVPに対する反応性が細胞によって異なることは、細胞中の各Grの量比が異なることに関連すると考える。またヒトNKはGRNが発現するが、マウスNKはGRNが発現しない。これも有機リン農薬に対するマウスNKとヒトNKの反応性の違いを決定する一因である。FACSの結果では、ヒトPBLのPfn、GrA、GRNの陽性率は各々21.1%、28.4%、22.4%で、CD16+NKでは各々61%、59.8%、55.8%で、CD3+T細胞では各々9.7%、25.5%、15.2%で、LAKでは各々40%、50.9%、87.9%で、これらの陽性率の違いは有機リンに対するNKとLAKの反応性が異なることを決定する一因である。
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Research Products
(1 results)