2005 Fiscal Year Annual Research Report
パーフォリンノックアウトマウスを用いる有機リン農薬による免疫機能低下の機序の検討
Project/Area Number |
15590523
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
李 卿 日本医科大学, 医学部, 講師 (50250048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 智之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00224791)
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Keywords | NK activity / Granulysin / Granzyme / perforin / 有機リン農薬 / T細胞 / CTL activity / マウス |
Research Abstract |
【目的】 本助成の初年度ではPerforin Knockout (PKO)マウスを用いて有機リン農薬DDVPがFas ligand/Fas pathwayにも影響を及ぼすことを明らかにした。2年目では有機リン農薬によるPKOマウスのFasL/Fas pathwayへの影響のメカニズムを解明した。さらになぜ、NK活性が最も有機リン農薬に阻害されやすく、LAK活性が最も阻害されにくいのか?また、なぜ有機リン農薬に対してマウスNKとヒトNKの反応性が異なるのかも解明した。3年目では1)有機リン農薬がNK細胞内のperforin, granzyme, granulysinの発現量に影響するかどうか、を検討した。2)動物に有機リンを投与し、そのNK,T細胞の変動を検討した。 【材料と方法】 1)有機リン農薬DDVPでヒトNK細胞株NK-92CI及びNK-92MIをin vitroで15時間処理した後、細胞を回収し、実験に供した。細胞内Perforinの測定はFITC-anti-perforinを、GrAの測定はFITC-anti-GrAを、GRNの測定はrabbit anti-GRN及びPE-anti-rabbit IgGを、NK細胞表面マーカーの測定はPE-anti-CD56を用いてFlow cytometry法で行う。NK活性の測定はchromium release assayを用いる。DDVPによるNK-92CIの脱顆粒はそれぞれの抗体を用いた蛍光抗体法によって観察した。 2)マウスに有機リン農薬DDVPを投与し、Flow cytometry法でマウス脾臓細胞のNK,T,B細胞及びマクロファージの割合を測定した。 【結果と考察】 (1)DDVPは有意にNK-92CI及びNK-92MI細胞の活性を抑制し、NK細胞内のPerforin、GrAおよびGRNのタンパク質量及びmRNAの発現量を低下させた。その機序としてDDVPによるNK細胞の脱顆粒によることが明らかとなった。またNK-92細胞内Perforin、GrAおよびGRNの量の低下がDDVPによるNK活性低下に関与することが示唆された。動物実験ではDDVPは有意にマウス脾臓細胞のNK細胞、CD8及びCD3陽性T細胞の割合を減少させ、B細胞の割合を増加させた。またDDVP投与マウスでは脾臓細胞のCD4陽性T細胞の割合も減少する傾向を示したが、統計学的に有意ではなかった。一方DDVPはマウスのマクロファージの割合には影響を及ぼさなかった。DDVPによるマウスのNK細胞、CD8及びCD3陽性T細胞割合の減少はDDVPによるNK及びCTL活性抑制に寄与したと考えられる。
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Research Products
(1 results)