2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマーカーを利用した疫学研究による多環芳香族炭化水素の発がんリスク評価
Project/Area Number |
15590530
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
花岡 知之 国立がんセンター, 研究所・臨床疫学研究部, 室長 (00228503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 優子 昭和大学, 医学部・衛生学, 講師 (30167580)
原 邦夫 財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究グループ長 (40250047)
市場 正良 佐賀大学, 医学部・社会医学講座, 助教授 (60184628)
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Keywords | 環境疫学 / 分子疫学 / バイオマーカー / 環境発癌物質 / 多環芳香族炭化水素 / DNA付加体 |
Research Abstract |
ヒトにおける環境発癌物質の発癌リスクを明らかにすることを目的とした環境疫学研究では、環境発癌物質の長期・微量・複合曝露を反映できるようなバイオマーカーの利用が期待されている。このような目的のためのバイオマーカーとして、発癌物質の内部曝露量をあらわす発癌物質の代謝物や、DNA付加体について数多くの研究が行われてきている。しかしながら、曝露集団を対象とした分析疫学研究への応用は限られており、このような曝露のリスク評価を提示できるような疫学研究はほとんどない。そこで、現在進行中のコークス炉作業者のコホート研究の中で多環芳香族炭化水素(PAH)の物質別のリスク評価を行うために、曝露評価のデータとして、このコホートにおけるJob-Biomarkerマトリクスを作成する。これは、この作業者群での職種と内部曝露量のマトリックスで、作業者個人ごとのPAHの物質別の累積曝露量あるいは累積曝露強度を内部曝露量であらわすためのものである。本年度は、(1)尿中の3環、4環、5環のPAH代謝物の高速液体クロマトグラフィーによる高感度分析を確立した。(2)コホート研究の対象者である中国鞍山の鉄鋼業地域のコークス炉作業者、同じ工場地帯の他の鉄鋼関連作業者、および住民について、Job-Biomarkerマトリクスを作成するためのフィールド調査をおこなった。Jobタイトルごとに対象者を抽出し、同意を得て採尿を行った。サンプル数は、あらかじめ行った簡易な質問票調査によって設定した。jobタイトルや職種、生活地域の異なる合計1200余名について調査を行なった。(3)PAHの物質別の尿中代謝物と気中物質の濃度と組成との関連を確認するために、典型的な対象職種の対象者について個人曝露濃度の測定と分析を行なった。(4)バイオマーカーに関する基礎的検討を並行して行なった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hanaoka T: "Chip ligating human genomic DNA serves as storage material and template for polymerase chain reaction."Biotechnol Lett. 25. 509-512 (2003)
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[Publications] Zhang J: "Leukocyte 8-hydroxydeoxyguanosine in coke oven workers with polycyclic aromatic hydrocarbon exposure."Int Arch Occup Environ Health. 76. 499-504 (2003)
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[Publications] Pan G: "Effects of polymorphisms of CYP1A1, GSTM1 and NAT2 on aromatic DNA adduct in coke-oven workers."J UOEH. Suppl 1. 111-126 (2003)
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[Publications] Lee KH: "Multiple biomarkers study in painters in a shipyard in Korea."Mutat Res. 540. 89-98 (2003)
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[Publications] Yoshimura K: "Allele frequencies of single nucleotide polymorphisms (SNPs) in 40 candidate genes for gene-environment studies on cancer : data from population-based Japanese random samples."J Human Genet. 48. 654-658 (2003)
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[Publications] Hashimoto H: "Analytical method of 2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP) in human hair by column-switching liquid chromatography-mass spectrometry."J Chromatgr B. (In press).
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[Publications] 花岡知之(分担): "職業・環境がんの疫学"岸 玲子. 151 (2004)