2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品の放射線照射を化学分析により高感度測定する手法の開発
Project/Area Number |
15590533
|
Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
尾花 裕孝 大阪府立公衆衛生研究所, 食品医薬品部, 主任研究員 (60191970)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 雅一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (40181458)
|
Keywords | 食品 / 放射線 / 照射 / 2-ドデシルシクロブタノン / 2-テトラデシルシクロブタノン / 牛肉 / 脂肪 |
Research Abstract |
3年計画の初年度である今年度は、これまでに考案した2-アルキルシクロブタンの分析法の有効性を検証した。脂肪含有量の異なる4種類の牛肉(ミンチ、赤身、大腸、肝臓)、各2種類の豚肉と鳥肉(ミンチ、モモ)に20ng/gになるように2-ドデシルシクロブタノン(2-DEC)と2-テトラデシルシクロブタノン(2-TDEC)を添加し回収試験を行った。その結果2種類のシクロブタノンは70〜110%の間で回収され、相対標準偏差も概ね10%を超えなかった。分析の前処理に必要な時間は約7時間であり、既存のソックスレー抽出とフロリジルカラム精製法に比べると、前処理時間は半分以下に短縮された。以上の結果から、考案した分析法は、動物性食品中のシクロブタノン分析を迅速かつ高精度に行える手法であることを確認した。 次いで上記4種類の牛肉にCo60を線源とするガンマ線を照射し、シクロブタノンの生成を確かめた。照射は実際に照射されている米国の条件を参考に、冷凍状態の肉に吸収線量が0.7〜5.3kGyになるように4段階の線量を照射した。その結果すべての試料において線量変化とシクロブタノンの生成が正の相関関係を示し、照射線量に応じたシクロブタノン生成を確認することが出来た。シクロブタノン生成量は試料の脂肪含有量が影響し、大腸(内臓脂肪が付着)>ミンチ>赤身>肝臓の順に生成量が多かった。2種類のシクロブタノンでは、2-DECの方が2-TDECよりも生成量が多い傾向を示した。2-DECの生成量は最も多い大腸の5.0kGyで196ng/g、最も少ない肝臓では5.3kGyで9ng/gであった。2-TDECの生成量は最も多い大腸の5.0kGyで329ng/g、最も少ない肝臓では5.3kGyで30ng/gであった。試料由来のきょう雑成分の影響を考慮した本分析法の定量下限は5ng/g程度であり、実用化されている5kGyレベルの照射を確実に検出できる感度であることを確認した。
|