2004 Fiscal Year Annual Research Report
非顕性健康影響の指標としてのコンピュータ支援神経行動学的検査法の確立に関する研究
Project/Area Number |
15590536
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岩田 豊人 秋田大学, 医学部, 助手 (00321894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | 重心動揺 / 振戦 / 有機溶剤 / 鉛 / 協調運動 / 反応時間 |
Research Abstract |
産業衛生・環境衛生において問題となる因子については、低濃度曝露による人への健康影響を検討する必要がある。このため人の運動調節機能についてセンサーおよびコンピュータを利用した計測を行ない客観的な数値指標を取得するための研究を行なった。 神経行動学的検査装置(CATSYS 2000)を用いて前腕静止時振戦、立位重心動揺、聴覚前腕協調運動、反応時間について再現性・妥当性の検討を行ない標準的測定法を定め、取得した時系列データについて周波数解析を行えるようにした。これに基づいて、秋田県および鳥取県に在住する小学一年生326名を対象に測定を行ない、女児が男児より重心動揺・振戦の小さいこと、月齢に応じて重心動揺は小さくなったが特定周波数の振戦は増大することが示された。仏壇製造業に従事し、トルエン、スチレン、ヘキサン等に曝露する成人62名を有機溶剤曝露歴のない32名と年齢・性・喫煙・飲酒・身長を補正して比較したところ、閉眼時重心動揺および主に利き手側の前腕振戦が増大していた。また、喫煙習慣により重心動揺や振戦が増大することが示された。再生鉛工場で働く作業者のうち血中鉛濃度測定値の得られた129名は、鉛・有機溶剤等の曝露歴を持たない60名と比較して開眼時に左右方向の重心動揺が全周波数帯において増大していた。これらの、年齢等の異なる多様な集団に共通して立位重心動揺と前腕振戦との間に関連が認められ、振戦測定に体幹のゆれが混入することが示唆された。また、測定時の心拍数と前腕振戦との間にも関連が認められ、拍動に由来する振動が存在することが示唆された。 以上により、当研究で採用した立位重心動揺・前腕振戦は、学童期から高齢までの対象者に対して使用できること、有機溶剤や鉛に対する曝露の影響を検討できることが明らかになった。さらに異なる種類の曝露因子の影響について検討すること、さらに低濃度・長期間の曝露影響を検討することが今後の課題である。
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Research Products
(6 results)