2003 Fiscal Year Annual Research Report
赤ワインに含まれるポリフェノールの動脈硬化性疾患改善効果とRhoキナーゼ系の関与
Project/Area Number |
15590553
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
重松 作治 大分大学, 医学部, 講師 (90325704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 尚彦 大分大学, 医学部, 助手 (30263239)
原 政英 大分大学, 医学部, 講師 (10244162)
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Keywords | Resveratrol / ポリフェノール / 酸化ストレス / 虚血再灌流障害 / 血管内皮 / 白血球 / 動脈硬化 / Rho / Rho kinase |
Research Abstract |
【研究目的】赤ワインに多く含まれるポリフェノールには動脈硬化性疾患に対して抑制効果があることが推測されている。本研究では赤ワインに含まれる代表的なポリフェノールであるResveratrolが(1)抗虚血作用を有するか否か、(2)抗動脈硬化作用を示すか否かを検討し、さらに、動脈硬化の進展に深く関与しているRho/Rho kinase系を介した細胞内伝達系の関与を検討することを目的とする。 【研究方法と研究成果】虚血再灌流障害および動脈硬化の進展の両者において、血管内皮細胞障害と血球の内皮への接着、血球の内皮下への遊走はとても重要である。そこでまず(1)ラットの腸間膜の微小循環系において、虚血再灌流刺激による血管内皮細胞傷害と白血球の接着・遊走に対するResveratrolの作用を検討し、このポリフェノールが両者を有意に抑制することを見いだした。さらに我々はキサンチン・ヒポキサンチンによって産生された活性酸素によって起こる内皮細胞障害と白血球活性化もResveratrolが抑制することを示した。(2)そこで次にResveratrolが心筋細胞に対しても保護効果を示すかどうかを検討した。ラットの培養心筋細胞を用い、過酸化水素による酸化ストレスに対するResveratrolの保護効果を検討した。結果については現在検討中であるが、Resveratrolが酸化ストレスによって生じる心筋細胞のアポトーシスを抑制する可能性が示された。(3)さらにResveratrolの抗動脈硬化作用については糖尿病誘発ラットの大動脈標本を用いての検討を行うことにしている。OLETFラットでは高インスリン血症を示すヒトの2型糖尿病のモデルであるが、対照ラットに比べて早期動脈硬化による血管内皮細胞障害が進展している。この血管内皮細胞障害によって内皮由来の血管拡張物質が低下し、各種の血管収縮刺激に対して過収縮が起こる。まずこれにRho/Rho kinase系が関与しているかを調べるため、ブロッカーであるfasudilを用いた検討を行う。さらに続いてResveratrolがRho/Rho kinase系を介した動脈硬化性の血管内皮細胞障害に対して抑制するかどうかの検討も行う。
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