2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱中症予防のための鼓膜温によるバイオロジカルモニタリング手法の開発
Project/Area Number |
15590567
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
筒井 隆夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (60309987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 正知 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (90341528)
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Keywords | 熱中症 / 外耳道温 / 暑熱作業 / 核心温 / モニタリング / 予防 |
Research Abstract |
暑熱職場で作業している労働者の熱中症を予防するために、作業中の労働者の深部体温を外部から連続モニタリングする手法を開発した。研究当初は作業中に測定可能な深部体温として鼓膜温を検討したが、赤外線を使用した非接触式の鼓膜温計は測定精度に問題があり、また、接触式の鼓膜温計は安全性に問題があるため、耳栓で密閉した外耳道空間の体温を深部体温として評価した。6名の男子学生を被験者として、温度35℃、湿度60%の人工気候室内で、20分間の75Wの運動と15分間の休憩を1セットとし、これを3回繰り返させ、外耳道温、直腸温、食道温、平均皮膚温の推移を測定した。その結果、外耳道温から代表的な深部体温である直腸温を推定することが可能であった。次に、作業者の外耳道温を外部からモニタリングできる装置を検討した。汎用の無線式温度測定用データロガーに外耳道温測定用プローブを取り付け、測定温や環境温を変化させ、熱伝対を使用した標準温度計と比較してデータロガーの校正を行った。その結果、このデータロガーの精度は、測定温度が30度から40度の範囲では、環境温に関係なく±0.2度以内であり、外耳道温の測定が可能と考えられた。そこで、さまざまな暑熱作業として、夏季における焼却炉の解体作業、リサイクルセンターの解体作業、遺跡発掘作業、圧延作業、炉前作業、圧延機のメンテナンス作業を選び、作業者数名にデータロガーを使用した外耳道温測定器を装着し、作業中の外耳道温の推移を測定した。その結果、作業の経過とともに、外耳道温は38℃程度まで上昇したが、今回の調査では熱中症を発症した作業者は無く、熱中症と外耳道温との関係は明らかにできなかった。しかし、外部から作業者の深部体温を連続モニタリングすることが可能となり、この手法は熱中症の予防に有効であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)