2004 Fiscal Year Annual Research Report
肺の炎症性疾患におけるサーファクタントの関与の分子機構と法医学的応用
Project/Area Number |
15590573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 香 (石田 香) 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50345047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 公一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30244586)
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053299)
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Keywords | サーファクタント / 心不全性肺水腫 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
1.法医剖検例における急性心筋梗塞とSP-A mRNA量について 法医剖検で得られた肺試料を用いて、リアルタイムRT-PCR法によりSP-A1及びSP-A2 mRNA量を死因ごとに比較したところ、窒息死や溺死例でSP-A2量に対するSP-A1量の比の増加が見られ、急性心筋梗塞による突然死例でも多くの例で増加を認めた。また、これらの増加は両SP-A mRNA量が死戦期に低下し、その低下率がSP-A1よりもSP-A2の方が大きいために起こることが明らかになった。 この剖検例で見られたSP-Aの変化を確認し、肺水腫との関係を明らかにするためにラット心筋梗塞モデルを作製して実験を行い、以下の結果を得た。 2.心筋梗塞モデルにおける肺水腫発生について 前年度の気管切開から気管挿管による人工呼吸管理に変更し、心筋梗塞モデルにおける肺水腫発生の経時的変化を検討したところ、梗塞24時間でSham群と比較して有意に肺重量が増加していた。また、心筋梗塞の前に予め4分虚血・4分際灌流を3回繰り返すischemic preconditioning (IP)を施すと、梗塞領域の狭小化と相関して肺重量の増加抑制効果が得られた。 3.肺水腫とサーファクタントアポ蛋白質A (SP-A)との関係について 心筋梗塞24時間でのSP-A mRNA量をリアルタイムRT-PCR法で測定したところ、Sham群を比較して有意に低下していた。また、心筋梗塞の前にIPを施した群ではSP-A mRNA量の低下は抑制されていた。 4.サイトカインの関与について TNF-αの関与について、リアルタイムRT-PCRによりmRNA量を測定したが、Sham群、心筋梗塞群、IP処置群の間に優位な変化は見られなかった。 以上の結果から、心筋梗塞時肺水腫とSP-A量の減少が示され、SP-Aの変化が呼吸機能低下に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)