2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNAの加齢変化に着目した年齢推定の試み
Project/Area Number |
15590574
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
針原 伸二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40198932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 二士夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70154979)
田久保 海誉 東京都老人総合研究所, 高齢者の臓器と組織のグループ, リーダー(研究職) (00154956)
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Keywords | mtDNA / 加齢変化 / A3243G / テロメア長 / 臓器試料 / 欠失 / 4977bp / ミトコンドリア糖尿病 |
Research Abstract |
ミトコンドリアDNA (mtDNA)に加齢変化があり、特定部位の塩基置換や欠失の増加として観察されることが報告されていた。本研究の目的は,この現象を年齢推定に応用できないかどうかを,実験的に検証することにある。 mtDNA・A3243G (mtDNAの3243番目の塩基がAからGへと置換する現象)の変異の増加は加齢現象として報告されており,本研究でもまずこの変異に着目して病理解剖で得られた試料について分析を進めてきた。食道上皮と心室心筋におけるA3243G変異率を比較したところ,心室心筋における値が加齢とともに有意に上昇する一方で,食道上皮における変異率の上昇はほとんど観察されなかった。この結果より背景として、細胞周期の長さや酸化ストレスの強弱などの要因が推測される。テロメア長は,細胞分裂がさかんな食道上皮では短くなっているのに対して,細胞分裂があまりない心室心筋では長いままであることから,対比的な結果となっている。一方で,脳組織に関する結果は複雑である。大脳左後頭葉の白質と灰白質の両組織の変異レベルを比較したところ,女性においてのみ,白質におけるA3243Gの平均値は灰白質における変異率の平均よりも有意に高かった。加齢変化については,白質・灰白質ともに認められなかったが、白質における変異率と脳重量との関連を調べたところ,有意に負の相関傾向を示したが,この現象に関しては,アルツハイマー病との関連も考えられる。 mtDNA A3243Gは,ミトコンドリア糖尿病の主要な原因のひとつと考えられるが,その疑いのある糖尿病患者の試料を得て,分析を進めているが,臓器ごとにさまざまな変異率で分布する実態が明らかになりつつある。さらに4977bpの欠失(mtDNAの特定の4977bpが欠失する現象)について,量的な分析を行なう技術を確立した。
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Research Products
(4 results)