2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚血/再潅流に伴う骨格筋NOS産生スパーオキサイドによるショック発現機構
Project/Area Number |
15590582
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
郡司 啓文 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20234643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 順子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40030887)
栗崎 恵美子 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30106356)
|
Keywords | 緊縛性ショック / スーパーオキサイド / Nitric Oxide Synthase(NOS) / NOS阻害薬 |
Research Abstract |
緊縛性ショックでは、局所筋肉は横紋筋融解を呈し、下肢の再潅流によりショックや多臓器不全が発現する。骨格筋細胞はNitric Oxide Synthase(NOS)を構造的に発現しており、一方、NOSは条件によってはNOの替わりにO2-を産生することが、近年明らかになった。そこで、我々は骨格筋組織に内在するNOSによる虚血/再潅流後のO2-産生を組織学的に観察した。緊縛性ショックモデルは、C57BL/6Jマウス(雄、9-15週齢)を吸入麻酔下に一側大腿を輪ゴムで3時間緊縛し、解除した。緊縛開始15分前に尾静脈からHydroethidine 200μg(Molecular Probe社)を投与し、NOS阻害薬は緊縛解除30分前に腹腔内一回投与した。解除後一定時間に吸入麻酔下に心臓血採血し、屠殺後、腓腹筋及び各臓器を採取した。腓腹筋は直ちに10μm厚凍結切片とし、MitoTrackFMGreen(Molecular Probe社)でミトコンドリア染色、VECTRASHIELD with DAPI(Vector社)で核染色及び封入し、蛍光顕微鏡で観察した。緊縛解除後5分では、緊縛側腓腹筋では毛細血管、骨格筋鞘及び細胞質でO2-産生増加が認められ、ミトコンドリア局在に一致した増加が著明であった。既に筋線維は膨化し、解除後30分で筋線維間浮腫が見られ、1時間以降、筋線維の壊死が観察された。NOS阻害薬前投与(L-NAME又はL-NMMA:30mg/kg)により筋線維によるO2-産生は著名に抑制された。従って、骨格筋組織に内在するNOSは再環流に伴い直ちにO2-を産生するといえる。この過剰なO2-が横紋筋融解をもたらし、また、生成過酸化物が血流により遠隔臓器機能に影響を与える可能性が考えられ、更に検討が必要である。
|