2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光共鳴エネルギー移動を利用した時間分解蛍光測定法の開発とその法医学検査への応用
Project/Area Number |
15590588
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 和子 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60111457)
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Keywords | 時間分解蛍光測定 / ハイドロキシノネナール / LPS / 酸化ストレス / ユウロピウム錯体 |
Research Abstract |
時間分解蛍光イムノアッセイによる過酸化脂質(4-ハイドロキシノネナール化タンパク,HNE)の簡便迅速測定 4-ハイドロキシノネナール(代表的な過酸化脂質の一つ)の抗体の提供を受け,LPSを投与したラットの酸化ストレスによって産生されるHNEを測定した。時間分解蛍光イムノアッセイの方法は特許を申請している。この方法によってLPSを投与した炎症モデルのラットを作成してHNEを測定すると、新たな、炎症や生活習慣病の指標になるような結果が得られた。 LPS(0.5mg/Kg)を雄SDラットに腹腔内投与後24時間まで経時的に,幽門から約1cmより肛門側の小腸を採取し,homogenizeした後,核・膜・細胞質に分画した.各分画のHNE濃度をイムノアッセイで定量すると,LPS投与後,腸管粘膜のHNE量は増加し,30分と4-8時間後にピークを認め,膜分画に多かった.十二指腸組織切片に抗HNE・抗IgAを反応させ,DAB・Eu錯体で二重染色すると,十二指腸粘膜内血管中の液性部分と形質細胞が抗HNEと抗IgA抗体で同様の陽性像を示した.LPS投与後HNE化される腸管の主要蛋白55kDaは、抗IgA抗体で免疫沈降し,抗HNE抗体を用いたwestern blot(WB)法によりIgAと同定した. 形質細胞は腸管粘膜の免疫担当細胞であり,IgA抗体を分泌し腸内細菌の侵入を防ぐ.本研究の結果より,LPS投与後早期に十二指腸血管内の液性成分と粘膜の形質細胞のHNE染色性が増加していることから,形質細胞は酸化ストレスの生成源であること,HNE化されたIgAを分泌することを初めて見出した.その病態生理学的意義の検討が課題である.Eu錯体を用いた免疫組織法は時間分解測定により,非特異反応が弱く感度が高い上,DABによる組織染色との組み合わせにより識別能の高い二重染色が可能になった.
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Research Products
(8 results)