2003 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素に起因しない一酸化炭素の毒性作用に関する研究
Project/Area Number |
15590590
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / ヒドロキシラジカル / ラット / 線条体 / グルタミン酸 / ドパミン / テトロドトキシン |
Research Abstract |
Sprague-Dawley系雄性ラットを用い、マイクロダイアリシス法により急性一酸化炭素(CO)中毒(CO 3000 ppm,40分間曝露)における線条体ヒドロキシルラジカル(OH)の生成量について検討し、以下のような結果を得た。 (1)CO曝露によりOH生成量は著明に増加した。その経時的変動は、COによる細胞外dopamine(DA)の増加と一致していた。すなわち、CO曝露中にすでに増加し、CO曝露中止直後まで増加したままであり、その後急速に減少して対照(空気のみ)と同程度となった。 (2)Naチャンネル遮断薬であるテトロドトキシンを前処置すると、基礎OH生成量が減少するだけでなく、COによるOH生成量増加も著明に抑制された。しかし、Ca^<2+>非存在下でも、COによるOH生成量増加が認められた。 (3)モノアミンオキシダーゼ阻害薬(clorgyline)あるいはDA合成阻害薬(α-methyl-p-tyrosine)は、COによるOH生成量増加に影響を及ぼさなかった。 (4)CO曝露は、細胞外グルタミン酸(Glu)膿度を、少量ではあるが、著明に増加した。しかし、Glu受容体括抗薬(MK-801あるいはNBQX)は、COによるOH生成量増加に影響を及ぼさなかった。 (5)フォスフォリパーゼA2阻害薬であるdexamethazone 21-phosphateは、COによるOH生成量増加に影響を及ぼさなかった。 (6)一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬(N^ω-nitro-L-arginine)は、COによるOH生成量増加に影響を及ぼさなかったが、L-NAmethylesterは抑制した。 このような結果から、COによるOH生成量増加は、Na依存性であるが、DA、Gluおよびアラキドン酸カスケードはあまり関与しないことが示唆された。また、Ca^<2+>およびNOの役割については、更なる検討が必要である。
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