2005 Fiscal Year Annual Research Report
親水性有機溶媒を用いた二相分離液-液抽出法の開発と応用
Project/Area Number |
15590593
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉田 学 関西医科大学, 医学部, 講師 (20122004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤根 敦 関西医科大学, 医学部, 教授 (70202520)
沖井 裕 関西医科大学, 医学部, 助手 (20121915)
|
Keywords | 抽出 / 親水性有機溶媒 / 薬毒物 |
Research Abstract |
抽出に検体(血液,尿など)に溶解する親水性有機溶媒を用い,これを塩処理することによって二相に分離する抽出法について検討し,その応用性を調べた。 1.血液中薬物分析への応用(NaCl-アセトニトリル抽出法を用いたプラゾシンの分析) 高血圧患者に処方されているプラゾシンについて検討した。プラゾシンはアセトニトリル相に選択的に移行し,良好な再現性が得られた。プラゾシンの紫外部の吸収スペクトルは213,247,331nmに吸収を示し,最大吸収は247nmであった。紫外吸収検出器-高速液体クロマトグラム(UV-HPLC)分析では測定波長範囲が広いことから夾雑物の影響を受けにくい波長の選択が容易であった。また電気化学検出器を使用することで選択的に検出することが可能であった。再現性,検量線および検出限界は実用性のある結果となった。 2.Triage検査試料の前処理としての応用 Triageは尿を対象とした濫用薬物簡易検査キットである。薬物による急死事例では尿中に排泄されることなく絶命する事も考えられる。そこで胃内容,血清を検査試料に加えて検査を実施した。前処理にはNaCl-アセトニトリル抽出液を遠心濃縮して乾固後,等量の純水で再溶解させた。その結果,抽出した場合とそうでない場合で差が認められ,抽出時の検査結果がHPLCの定量結果と矛盾が認められなかった。このことから抽出処理の有効性が確認された。また経口投与される薬物の場合は,高濃度残存する可能性のある胃内容を用いたTriage検査が有効であると考えられた。 3.有機溶媒分析への応用 本抽出法の有機溶媒への応用としてホルマリンについて検討した。ホルマリンは紫外域に吸収を持たないため,分析にはGC-MSを用いた内部標準法で行った。ホルマリンのマススペクトルはイオン強度の強い順にm/z 29,30,28でこれに競合しない物質で抽出溶媒と内部標準物質を検討した。その結果,抽出溶媒にはアセトニトリル,内部標準物質にはアセトンが最適となり,それぞれをm/z 30と58イオンに設定したSIMモードで測定することで抽出溶媒のアセトニトリルの影響を受けることなく迅速に定量することが可能であった。
|
Research Products
(2 results)