2006 Fiscal Year Annual Research Report
担癌状態における活性化T細胞移入による生体でのQOL及び免疫学的動態解析
Project/Area Number |
15590606
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Research Institution | International Medical Centre of Japan |
Principal Investigator |
有賀 悦子 国立国際医療センター(研究所), 消化器疾患研究部, 研究員 (20343551)
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Keywords | FACT-BRM / QOL / 活性化T細胞 / 癌免疫療法 / 緩和医療 / サイトカイン |
Research Abstract |
平成17年度までの研究で作成されたFACT-BRM日本語版を用いて、進行癌患者に対して活性化T細胞を2回移入し、その前後におけるQOLの変動を解析した。進行癌患者62名に対して、自己末梢血単核細胞層を固相化抗CD3抗体とIL-2にて2週間培養した活性化T細胞を末梢静脈より移入し、T細胞投与前と2回投与後2週間目にFACT-BRM日本語版QOL調査票を用いたアンケート調査を実施した。QOL調査票として、FACT-BRM日本語版全項目から臨床試験用に27項目に限定されたFACT-BRM-TOI (trail outcome index)を用い、各質問に対する答えをFACIT Scoring Programに沿ってスコア化した。実施した62名中25名(40%)においてT細胞移入後にQOLスコアが増加し、QOLの改善が認められた。34名(55%)でQOLスコアが減少し、3名(5%)で不変であった。これより、進行癌患者において活性化T細胞移入がQOL改善をもたらす可能性が示された。今後の課題として、疾患と病期の等しいT細胞非移入群(コントロール群)におけるQOLの変動との比較検討やT細胞移入によるQOL改善群と悪化群との差異解析が必要と考えられる。また、FACT-BRM日本語版が活性化T細胞移入によるQOL変移の評価に最適であるかどうかを、他のQOL調査票との同時比較により検討することが必要と考えられた。本研究で活性化T細胞を移入することにより、患者末梢血中でCD8β陽性CD28陽性T細胞の増加とCD3陽性CXCR3陽性T細胞の増加が認められた。これらは体内での活性化Type1 T細胞の存在を示すと考えられ、活性化T細胞移入後の生体内でのType1免疫の優位性を表わす指標となることが推測された。
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