2004 Fiscal Year Annual Research Report
Notch関連遺伝子による膵癌化機構の解明と新しい分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
15590615
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 憲治 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90359513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 東北大学, 病院・助手 (10282055)
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Keywords | Notch / 膵癌 / マウス膵発癌モデル |
Research Abstract |
[背景] Notch signalingの活性化がヒトT細胞白血病、前立腺癌、マウス乳癌など様々な臓器の癌化に関与していることが示されているが、膵癌化機構におけるNotchの役割についてはいまだ不明である。 [目的] 膵癌化機構におけるNotch関連遺伝子の役割を明らかにし、Notch signalingの制御による膵癌に対する新しい分化誘導療法を開発することを目的とする。 [結果] Green mouse(C57BL/6Tg14(act-EGFP)OsbY01)膵にchemical carcinogenであるdimethylbenzanthracene(DMBA)を注入して作成したマウス膵癌モデルにおいて、各種膵癌マーカーおよび膵分化関連マーカーの発現を検討した。また、microdisection法にてNotch関連遺伝子および膵分化関連マーカーのmRNAの発現を検討した。 1)DMBAによる膵組織の経時的変化 DMBA処理2週後、膵にtubular complexの形成、1ヶ月後にPanIN-2相当の異型膵管上皮の出現を認めた。処理2ヶ月後の膵にtubular adenocarcinomaの出現を、3ヶ月後にanaplastic carcinomaに酷似した肉腫様浸潤癌の出現を認めた。また、PanIN様膵管上皮にPanIN2相当からPanIN3相当への空間的移行も認められた。 2)免疫組織化学で、異型膵管上皮および浸潤癌部にNotch1、HES1、PDx1、Nestinの発現を認めた。肉腫様浸潤癌はpan cytokeratin陽性、vimentin陰性で、上皮性腫瘍であることが示された。悪性度の進行に伴い、cyclinD1およびP53の発現が亢進し、smad4の発現抑制が認められた。 3)Microdisection法にて、異型膵管上皮および浸潤癌部にNotch1およびPDx1 mRNAの発現亢進を認めた。 [考察] 1)膵癌化機構にNotch signaling pathwayが関与している可能性が示唆された。 2)Notchによる膵管上皮細胞の脱分化が、膵発癌の初期から関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)