2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ感染胃粘膜及び胃癌におけるMusashi-1発現意義の検討
Project/Area Number |
15590646
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川野 淳 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60133138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40301262)
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Keywords | ヘリコバクターピロリ / Musashi-1 / CagA |
Research Abstract |
Musashi-1(MSI-1)は神経幹細胞に発現するRNA結合蛋白であり神経幹細胞の分化誘導に関与し、消化管粘膜細胞においても幹細胞にMSI-1が発現している事が近年報告されている。一方、Helicobacter pylori(H.pylori)感染は胃癌の危険因子として認識されておりその発癌に対する影響に興味が持たれている。本研究ではH.pylori感染による胃発癌におけるMSI-1の役割を明らかにしようとするものである。 MSI-1の胃粘膜上皮及び胃癌組織における発現の局在を生検組織、手術標本にて免疫組織化学的に、またRT-PCR及びwestern blottingにより検討したところ、その発現は胃癌部で強く、正常粘膜では見られなかった。さらにH.pylori感染胃粘膜でH.pylori毒性因子であるCagA、VacAの局在との関連を免疫組織学的に検討した結果、CagAを発現している症例でMSI-1が発現しており、その発現細胞は一致していた。 MSI-1RNA発現が殆ど見られないAGS細胞株にCagA遺伝子を一過性に発現させるとMSI-1mRNA発現誘導が見られた。更にテトラサイクリンでCagA蛋白を任意に発現調節可能な系(tetracyclin-off system)をラット胃粘膜上皮細胞(RGM1細胞)を用いてCagA-RGM1細胞を作成し、CagA発現とMSI-1発現を検討したところ、CagA蛋白発現の度合いに一致してMSI-1の発現が見られた。また、H.pylori感染でMSI-1が誘導される可能性を、CagA遺伝子欠損変異菌株と野生型菌株を生菌状態でAGS細胞と共培養する事によりCagAのMSI-1誘導に関する検討を行った結果、CagA陽性株H.pylori菌感染においてMSI-1が発現した。本年度はCagA蛋白がMSI-1発現を誘導する事を明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 村田浩昭, 富 海英, 辻 晋吾, 川野 淳: "非癌胃上皮細胞でのCagA遺伝子の発現"Helicobacter Research. 7(1). 32-36 (2003)