2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590651
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北台 靖彦 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10304437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 正治 広島大学, 保健管理センター, 教授 (20211659)
田中 信治 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00260670)
|
Keywords | 胃癌 / リンパ節転移 / VEGF-C / VEGF-D / リンパ管新生 |
Research Abstract |
1.胃癌におけるVEGF-C, VEGF-Dの発現と臨床的重要性 Vascular endothelial growth factor (VEGF) familyのうち、VEGF-CおよびVEGF-Dはリンパ管内皮に特異的に発現するVEGFR-3のリガンドであり、リンパ管新生に関与すると考えられている。本年度は胃癌細胞株、ヒト胃癌組織におけるVEGF-C、VEGF-Dの重要性について検討した。ヒト胃癌培養細胞5株(TMK-1,MKN-1,MKN-28,MKN-45,MKN-74)および、12症例のヒト胃癌組織生検材料よりtotal RNAを抽出し、VEGF-C、VEGF-DおよびVEGFR-3のmRNAの発現をsemi quantitative RT-PCR法にて検討した。さらに、当院にて切除された進行胃癌139例のホルマリン固定パラフィン切片を用いてVEGF-C、VEGF-D、および血管内皮マーカーであるCD34の免疫染色を行い,臨床病理学的因子と比較検討した。胃癌培養細5株中、VEGF-Cは2株、VEGF-Dは4株にmRNAの構成的な発現を認めた。胃癌症例12例中、3例において腫瘍部でVEGF-C mRNAの発現を認めたが、VEGF-D mRNA発現は1例のみに認められた。免疫組織学的検討ではVEGF-Cは腫瘍表層に比し浸潤先進部での発現が強く,陽性率は23.0%(32/139)であったが、VEGF-Dは一定の傾向はなく、陽性率も8.7%(12/139)と低値であった。VEGF-C陽性例では陰性例に比し、CD34によるmicrovessel densityの有意な上昇を認め、リンパ管侵襲、リンパ節転移と相関を認めた(p<0.05)。一方、VEGF-D発現とmicrovessel density、リンパ管侵襲、リンパ節転移との間に有意な相関は認めなかった。VEGF-Cは胃癌の発育、進展に関わる重要な因子であると考えられた。今回の検討ではVEGF-Dと胃癌の発育、進展との関連は見出せなかった。現在、症例数を増やし、real tine PCRにてVEGF-C/D mRNA発現を定量化している。 2.胃癌細胞株のうちKKLS細胞はVEGFR-3を強発現していることを見出した。VEGF-C/D/receptorシステムがオートクライン的に癌細胞の増殖を促進するか検討したが、胃癌の増殖能には影響を与えなかった。浸潤能の変化を現在検討中である。 3.VEGF-C expression vector, VEGF-D expression vectorを作成した。遺伝子導入、動物実験を計画中である。
|
Research Products
(1 results)