2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経網形成を促す神経栄養因子が消化管粘膜の恒常性維持及び損傷修復に果す役割の追究
Project/Area Number |
15590683
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
市川 尊文 北里大学, 医学部, 講師 (30245378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104530)
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Keywords | 実験潰瘍 / ムチン / 免疫組織化学 / 表層粘液細胞 |
Research Abstract |
複雑なネットワークが想定される粘膜防御能調節機構の解明を目指して、各種調節因子の実験潰瘍治癒過程における関与及び粘膜防御能に深く関わるムチン代謝への影響について調べ、以下のような結果を得た。 1.成熟ラットに塩酸アスピリンを投与し、5時間経過した後、胃を採取。カルノア固定後、我々が開発した抗ムチンモノクローナル抗体:RGM21,PGM34(胃体部表層粘液細胞由来ムチンと反応),RGM26(胃前庭部表層粘液細胞由来ムチンと反応)を用いた免疫組織化学的染色を行ったところ、RGM21とPGM34に対する染色範囲が縮小していることが観察された。とりわけRGM21では、表層粘液細胞にほとんど染色性がみられず、粘液ゲル層を含む胃粘膜表層細胞の脱落による損傷を受けていることが観察され、これらの抗体による免疫組織化学的検討で、より鮮明なる表層粘膜の損傷を評価できることが示された。 2.ラット胃粘膜に酢酸を直接注入し作成した慢性実験潰瘍モデルで、経時的に胃粘膜固定標本を作り、その治癒過程を上記抗体で調べたところ、24時間後の胃体部で正常粘膜では染色性を認めないはずのRGM26に反応する粘液細胞が確認された。 3.成熟ラットの胃粘膜組織を用いて、培地内に各種神経栄養因子(NGF, BDNF, NT-3,EGEF, HGF)を添加したときのムチン生合成活性を比較したところ、EGF, HGFでは亢進作用が確認されたが、NGF, BDNF, NT-3では明らかな変化が認められなかった。 4.以上の結果は、脳で重要な機能を有するNGF, BDNF, NT-3が胃粘液細胞へ直接的に作用する可能性は少ないが、実験潰瘍治癒過程において粘液の質的変化が引き起こされていることが示された重要な所見であると考える。
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Research Products
(6 results)