2003 Fiscal Year Annual Research Report
患者由来末梢血幹細胞の移入による新しいCrohn病モデルマウスの開発
Project/Area Number |
15590684
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 詠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00232546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 知治 北里研究所病院, 医長(研究職) (70306710)
石川 博通 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051667)
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
野村 達次 実験動物中央研究所, 所長 (10072399)
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Keywords | Crohn病 / NOGマウス / フローラ / モデルマウス / 炎症性腸疾患 / 幹細胞 |
Research Abstract |
Crohn病は肉芽腫形成、全層性炎症を特徴とする難治性慢性炎症性腸疾患であり、近年の免疫学、分子生物学および分子遺伝学的手法の進歩により、慢性炎症発症のメカニズムが解明されつつあり、さまざまな免疫異常が病態形成において中心的な役割を果たしていることが証明され、これにもとづいて抗サイトカイン抗体(抗TNF-α抗体、抗IL-6R抗体)などによる新しい治療法が開発されつつある。しかし、新しい治療法を開発する際に、ヒトのCrohn病の病態に類似する良い実験動物モデルが少ないことが問題となっている。今回の研究においては、免疫不全マウスにCrohn病患者の造血幹細胞を移入して造血免疫系を再構築することにより、ヒトCrohn病の腸管粘膜免疫環境をマウスに再現させ、ヒトCrohn病の腸管粘膜免疫環境で再構築した無菌環境下マウスに患者糞便由来腸内フローラを定着させることにより、Crohn病類似の腸炎を惹起するヒト型Crohn病モデルマウスを確立することを目的とした。 まず、NOD/SCIDマウスをIL-2RγcKOマウスと交配させ、スクリーニングによりNOD/SCID×IL-2RγcKO (NOG)マウスを樹立し、無菌環境下で繁殖させた。実験動物中央研究所および他の研究協力施設においてこのNOGマウスの免疫学的解析を終了し、ビニールアイソレーター内にて飼育・繁殖させ、移入実験に供与可能な供給体制を確立した。本年度においては、健常者より採取した末梢血単核球および末梢血幹細胞の移植を行い、移植細胞の分布等について解析中である。また、研究協力者の東京大学・農学生命科学研究科の平山和宏博士らにより無菌マウスにヒト腸内フローラを定着させる方法を確立し、Crohn患者および健常者の糞便希釈液を経口的に投与した。それぞれの群をアイソレーターで飼育し、フローラ投与約8週間後に屠殺し、腸管の炎症等について検討した。今後NOGマウスにおいてCrohn患者より得られた検体を用いて移植フローラ定着実験を実施予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato T, et al.: "Hyperexpression of Inducible Costimulator and Its Contribution on Lamina Propria T cells in Inflammatory Bowel Disease."Gastroenterology. 126(3). 829-839 (2004)
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[Publications] Takagi H, et al.: "Contrasting action of IL-12 and IL-18 in the development of dextran sodium sulphate colitis in mice."Scand J Gastroenterol. 38(8). 837-844 (2003)
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[Publications] Yamazaki M, et al.: "Mucosal T cells expressing high levels of IL-7 receptor are potential targets for treatment of chronic colitis."J Immunol. 171(3). 1556-1563 (2003)
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[Publications] Ezaki T, et al.: "A specific genetic alteration on chromosome 6 in ulcerative colitis-associated colorectal cancers."Cancer Res. 63(13). 3747-3749 (2003)
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[Publications] Kanai T, et al.: "Macrophage-derived IL-18 targeting for the treatment of Crohn's disease."Curr Drug Targets Inflamm Allergy. 2(2). 131-136 (2003)
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[Publications] Hibi T, et al.: "Low-dose azathioprine is effective and safe for maintenance of remission in patients with ulcerative colitis."J Gastroenterol. 38(8). 740-746 (2003)