2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス肝炎における炎症細胞の肝内浸潤過程と病態に関する研究
Project/Area Number |
15590692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(客員助教授) (80273358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸井 隆夫 東京医科大学, 医学部, 助手 (60338796)
松島 綱治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50222427)
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Keywords | 肝炎ウイルス / HBV / CTL / ケモカイン / サイトカイン |
Research Abstract |
【目的】肝炎ウイルスに対する生体(宿主)の免疫応答を解析するために、独自に新しい肝炎モデルマウスを作成し、ウイルス特異的CD8^+T細胞の誘導過程と炎症細胞の肝臓内への浸潤過程を解析した。 【方法】HBVプラスミドDNAを用いてマウスを免疫し、HBV特異的CD8^+T細胞を誘導した。HBVが組込まれたアデノウイルス(Ad-HBV)をマウスに感染させ、肝細胞内にHBVゲノムを導入し、ウイルス蛋白の発現とウイルスの複製を誘導した。HBV特異的な免疫応答の存在下で、Ad-HBVを感染させ、肝臓内で発現したHBVウイルス抗原に対する免疫応答による炎症反応を誘発した。MHC classI-dimerやIFN-γ染色法を用いてフローサイトメーターでHBV特異的CD8^+T細胞を検出し、体内動態を詳細に検討した。肝臓に発現している遺伝子をリアルタイムPCR法で定量的に解析した。 【結果】HBV特異的CD8^+T細胞は、脾臓などのリンパ組織だけでなく、末梢血中や肝臓を含めた末梢組織中にも広く分布していた。肝臓内にHBVウイルス抗原が発現すると、ウイルス特異的なCD8^+T細胞は迅速に反応し激しい炎症反応を誘発した。炎症のピークであるday5にはHBV特異的CD8^+T細胞は脾臓や末梢血中から消失し、肝臓内に蓄積し、活発に分裂増殖していた。肝臓からウイルス抗原が消失したday14では、再び末梢血中や脾臓にHBV特異的CD8^+T細胞が最分布した。CD8^+T細胞の肝臓内への浸潤と一致して、IFN-γなどのサイトカインや、CXCL9,CXCL10などのケモカインが強く発現していた。 【結論】HBVに対する特異的免疫応答が惹起する肝臓内の炎症反応とそれに伴うウイルス特異的なCD8^+T細胞のダイナミックな生体内の動きを明らかにした。ウイルス抗原排除後にメモリー細胞が最分布することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)