2006 Fiscal Year Annual Research Report
変異型エンドセリン受容体、エンドセリンアンチセンスによる慢性膵炎遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
15590702
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
木原 康之 産業医科大学, 医学部, 助手 (80279330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 充生 産業医科大学, 医学部, 助手 (20341498)
中村 早人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90207902)
大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
|
Keywords | 慢性膵炎 / エンドセリン / 線維化 |
Research Abstract |
エンドセリンは強力な血管収縮作用を有するホルモンであり、ラット急性膵炎においても膵の微少循環を障害し、血管透過性を亢進することで、急性膵炎を増悪させることが報告されている。一方、び漫性硬化症、特発性肺線維症、肝硬変患者の血中エンドセリン濃度は高値を呈することが報告されている。さらに、エンドセリン-1トランスジェニックマウスの腎糸球体に著明な線維化が認められたことから、エンドセリンは膵線維化を促進する可能性が考えられる。急性膵炎ではエンドセリンの発現が増加することから、再発を繰り返す急性膵炎時に増加するエンドセリンが膵線維化を促進するとすれば、TGF-βとは異なる新しい膵線維化の経路であり、necrosis-fibrosis sequenceにより慢性膵炎が進行することを示唆することになる。今後エンドセリンの発現を抑制することが可能になれば、急性膵炎を繰り返す患者の慢性膵炎への進展を阻止することが期待できる。本年度は膵線維化モデルラットOLETFラットを30週齢および50週齢で犠牲死させ、膵臓を摘出し、エンドセリン-1蛋白の発現を免疫組織化学法で検討した。エンドセリン-1抗体を用い、免疫染色を行ったところ、Azan染色で膠原線維が見られた部位に一致してエンドセリン-1蛋白の局在が認められたことから、エンドセリン-1は膵臓の線維化に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。今後、エンドセリンA受容体の発現について引き続き検討する。
|