2003 Fiscal Year Annual Research Report
非相同末端再結合修復機構のhaploid insufficiencyと大腸発がん
Project/Area Number |
15590707
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
落合 雅子 国立がんセンター, 研究所・生化学部, 主任研究官 (90150200)
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Keywords | 非相同末端再結合(NHEJ)修復 / haploid insufficiency / 大腸発がん / DNA-PKcs変異 / gpt deltaマウス / azoxymethane |
Research Abstract |
1.DNA-PKcs変異を導入したgpt deltaマウスの作成 DNA-PKcs変異のホモ接合体であるScidマウスとgpt deltaマウスを交配して選別を行い、DNA-PKcs変異はヘテロ接合体であり、gpt deltaはホモ接合体であるマウスを得た。これらのマウスを継代・繁殖させて実験に使用するマウスを得ている。また、新たにプライマーを設計して蛍光標識オリゴマーを作成し、シークエンサーを用いたAFLP解析により、DNA-PKcs変異の有無によるタイピングを簡便に行う系を開発した。 2.DNA-PKcs変異を導入したgpt deltaマウスを用いたin vivoでの自然発生及びAOM誘発突然変異の変異頻度の検討 gpt deltaマウスを用いたin vivoでの突然変異検出系の特に欠失変異を検出するSpi^- assayにより検討した。DNA-PKcs変異のホモ接合体及び野生型マウスの大腸粘膜における自然発生突然変異の変異頻度に有意差は認められなかったが、azoxymethane(AOM)誘発突然変異の変異頻度はホモ接合体の方が野生型より高い傾向が認められた(P=0.12)。ヘテロ接合体については、現在検討中である。 3.変異スペクトラムの解析 DNA-PKcs変異のホモ接合体及び野生型マウスから自然発生及びAOM誘発突然変異で得られた変異体の変異スペクトラムを解析した。ホモ接合体から得られた変異体には、1kb以上の大きさの欠失変異が多い傾向が認められ、特にAOM誘発突然変異では、ホモ接合体の変異頻度が野生型よりも有意に高かった(P=0.048)。 4.AOMで誘発される発がん性に対するDNA-PKcsのhaploid insufficiencyの影響についての検討 DNA-PKcs変異のホモ接合体、ヘテロ接合体、野生型の雌雄を用いて、AOMで誘発される大腸の発がん性を検討中である。
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