2003 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓腺房細胞においてユビキチン様蛋白質が遺伝子の発現と修復を制御する機構について
Project/Area Number |
15590709
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
稲熊 裕 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 主任研究員 (10250250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 秀記 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・神経制御学部, 研究員 (40311443)
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Keywords | SUMO / ユビキチン / TTRAP / APEX / DNA修復 / 膵臓 / 腺房細胞 |
Research Abstract |
ユビキチン様蛋白質SUMOによる翻訳後修飾は核輸送、転写活性制御、染色体分離などに関与する。サブファミリーのSUMO-2/3は細胞のストレス応答に関与すると考えられ、ストレス負荷後、高分子量化する。組織分布の検索では膵臓に多くの遊離型SUMO-2/3が存在した。我々は、SUMOと相互作用する蛋白質としてTTRAP (TRAF and TNF receptor-associated protein)を同定した。TTRAPは362アミノ酸から成りAPエンドヌクレアーゼ(APEX)様ドメインをもつ。APEXは、T(U):Gミスマッチに対してチミンDNAグリコシラーゼ(TDG)が作用してT(U)が切除されたAPサイトに結合し、ホスホジエステル結合を加水分解する。この観点から、TTRAPがAPEX活性をもつかどうかについてtetrahydrofuranを導入してAPサイトを模倣したオリゴヌクレオチドを基質として検討したところ、同様の方法で精製したAPEXに比べ活性ははるかに弱いもののホスホジエステル結合を切断する能力があることが確認された。また、この酵素活性はMg^<2+>依存的であることも分かった。TTRAPがTDGとどのように相互作用してAPサイトに働くかについて検討したところ、TDGが先ず基質DNAに結合した後にTTRAPが結合して複合体を形成することが示唆された。In vivoにおける遺伝子修復へのTTRAPの関与について検討するため、酵母の修復関連遺伝子欠損株を用いて機能回復実験を行う準備を進めている。APEXは塩基除去修復のほかにも転写因子を還元してDNA結合能を増加させる機能や、副甲状腺ホルモン遺伝子の発現調節領域にあるnegative Ca^<2+>-responsive elementへの結合活性などをもつ多機能蛋白質であることが知られている。加えて、TTRAPはdeadenylase活性をもつCCR4にもホモロジーがあることが報告されているので、これらの点でもTTRAPの機能解明の検討を進めている。これらの研究成果は発癌機構の解明やストレス応答機構の解明に役立つと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊東秀記 他2名: "低分子量HSPと細胞内タンパク凝集体"日本薬理学雑誌. 121. 27-32 (2003)
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[Publications] Ito, H.et al.: "Hsp27 suppresses the formation of inclusion bodies induced by expression of R120G alpha B-crystallin, a cause of desmin-related myopathy."Cell Mol Life Sci. 60. 1217-1223 (2003)