2004 Fiscal Year Annual Research Report
核膜蛋白ラミンA/C遺伝子異常による刺激伝導系・作業心筋障害の分子病理
Project/Area Number |
15590716
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
苅部 明彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80359504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 豊 東北大学, 病院・講師 (90250779)
渡辺 淳 東北大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90210905)
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Keywords | 核膜蛋白 / 特発性心筋症 / 刺激伝導系 |
Research Abstract |
平成16年度の研究実績について以下に述べる。 1、変異lamin A/C遺伝子の培養細胞への導入とその効果:実際の心筋症患者より同定したexon 5内の変異をsite-directed mutagenesisにて作成しGFPを発現マーカーとして同時に組み込んだベクターを作成し、マウス線維芽細胞に導入した。GFP発現を蛍光顕微鏡で確認し、変異lamin A/C遺伝子の発現をリアルタイム定量RT-PCR法にて検討した。変異遺伝子の発現は認められるものの、正常アリル遺伝子の発現低下も認められた。Immunoblotting法にてlamin A/C蛋白質の発現量を定量したところ、コントロールと比較して正常lamin A/C蛋白質の発現レベル低下を認めた。2、siRNA導入によるlamin A/C遺伝子発現抑制とその効果:21塩基対のlamin A/C遺伝子特異的siRNAをマウス線維芽細胞3T3に導入しlamin A/C遺伝子抑制効果を検討した。siRNAにより75%以上のlamin A/C遺伝子抑制が得られ、その結果Immunoblottingにおいて75%以上の蛋白質発現低下を認めた。3、変異遺伝子導入による正常アリル発現低下のメカニズムを検討するためコントロールと変異遺伝子導入細胞、siRNA発現細胞間でマイクロアレイによる発現遺伝子プロファイリングを施行した。4、lamin A/C遺伝子発現抑制マウスの作成:上記遺伝子ベクターのトランスジェニックマウスの作成を試みているが、胎児致死も多くトランスジェニックマウスの作成には成功していない。5、マウス新生児初代心筋細胞におけるlamin A/C遺伝子発現抑制とその効果:マウス新生児心筋組織おけるlamin A/C遺伝子発現の経時的変化をリアルタイム定量的RT-PCR法で検討した。従来の報告では不明であったが、出生前よりlamin A/C遺伝子の発現は認められ、出生後は時間経過とともに遺伝子発現は増加した。Immunoblotting、免疫組織学的検討では、出生後からの蛋白質発現は増加し、蛋白質発現の翻訳後調節が考えられた。laminB2など他の核膜蛋白は出生前より安定した発現を認めた。細胞周期から離脱後の最早期である出生後14日のマウス初代心筋細胞に対して変異lamin A/C遺伝子ならびにlamin A/C遺伝子特異的抑制siRNAを導入しその効果を検討した。線維芽細胞で認められた効果が心筋細胞でも認められた。最も特徴的な効果はリン酸化された網膜芽細胞腫蛋白(RB)の低下とアポトーシス心筋細胞数の増加であった。
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