2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンIIによる心血管障害への鉄代謝異常とラディカルの関与の検討
Project/Area Number |
15590722
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石坂 信和 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20270879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 一郎 和歌山県立医科大学, 附属病院, 助教授 (10157852)
塚本 和久 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20251233)
佐田 政隆 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (80345214)
|
Keywords | アンジオテンシンII / 酸化ストレス / 老化 |
Research Abstract |
平成16年度の検討では、最初に心臓におけるTGF-β1およびコラーゲン遺伝子の発現調節における鉄動態異常の役割について検討した。これらの遺伝子発現は、さまざまな病態において。心線維化に関連していると考えられている。 In situ hybridizationの結果、アンジオテンシンII投与ラットの心の組織学的検討により、鉄の沈着している細胞種の一部、ことにマクロファージ系の細胞において、TGF-β1 mRNAの発現が著明に亢進していることが明らかになった。TGF-β1の発現亢進は鉄沈着のない、冠動脈壁や、myofibroblast様細胞でも認められた。鉄キレーターやラディカルスカベンジャーの投与は、アンジオテンシンIIによるTGF-β1mRNAの発現増加を抑制した。これらのことから、アンジオテンシンIIによる心線維化増生のメカニズムとして、TGF-β1などの線維化関連遺伝子の発現調節が関与している可能性が示唆された。 並行して施行した検討により、アンジオテンシンII投与ラットにおいては、腎および肝においても心臓同様TGF-β1の発現が亢進することを見出した。また、これらの組織においても鉄キレーターやラディカルスカベンジャーはアンジオテンシンにIIよる線維化関連遺伝子の発現亢進抑制することが認められた。 さらにわれわれは、アンジオテンシンIIが大動脈おいても鉄動態の異常を惹起する可能性について検討した。アンジオテンシンII投与ラット大動脈ではフェリチンの発現がコントロールの約25倍と著明に亢進しており、外膜細胞で鉄の沈着を認めた。鉄キレーターはアンジオテンシンII投与ラットで認められる血管士官反応の減弱、血管壁の過酸化脂質増加、MCP-1の発現亢進を抑制した。 これらのことから、アンジオテンシンIIは心血管系において腎、肝などの他の臓器同様鉄動態異常を惹起し、組織学的・機能的障害の誘因となることや、遺伝子発現の調節に関与している可能性が示された。
|
Research Products
(5 results)