2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性による高血圧・動脈硬化の発症、進行の機序に関する研究
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15590725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 越 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40313134)
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Keywords | 動脈硬化 / インスリン抵抗性 / サイトカイン |
Research Abstract |
我々はインスリン抵抗性状態で脂肪組織から分泌されるtumor necrosis factor(TNF)-α、interleukin(IL)-1などのサイトカインの血管機能に対する効果を検討するために、obese Zucker(OZ)ratにこれらのサイトカインの産生阻害薬であるsemapimod(CNI-1493)を投与し、その効果を検討した。OZ ratの内臓脂肪および血液中のTNF-α、IL-1濃度は対照のlean Zucker(LZZ)ratに比べ有意に上昇していたが、semapimod投与によりこれらの組織濃度は有意に抑制された。OZ ratの大腿動脈内腔をワイヤーで損傷し、新生内膜の形成を調べると、LZ ratに比べ、新生内膜の形成は有意に増加していた。一方semapimod投与によりOZ ratの新生内膜形成は有意に抑制された。以上の結果はインスリン抵抗性状態にあるOZ ratの新生内膜形成促進はTNF-α、IL-1などのサイトカインの作用による可能性を示唆する。次に我々は内因性TNF-αの作用を阻害したときの血管機能の変化を特異的に検討するために、TNF-α受容体の細胞内シグナル伝達domainを欠損するdominant negative mutantを作成し、アデノウイルスに組み込んだ。このウイルスを大腿動脈に感染させると、OZ ratの新生内膜形成は有意に抑制された。以上の結果より、インスリン抵抗性状態での新生内膜形成は内因性サイトカイン、特にTNF-αの作用により促進される事が明らかになった。今後このようなサイトカインの作用を阻害する事が、インスリン抵抗性状態で動脈硬化が進む事を抑制するのに役立つと考えられる。
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Research Products
(3 results)