2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞のサイクリンAの細胞内局在相違によるアポトーシスと分裂調節機構の解明
Project/Area Number |
15590727
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
安達 進 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (20343155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宏 秋田大学, 医学部, 教授 (10232464)
|
Keywords | 心筋細胞 / アポトーシス / サイクリン / 酸化窒素 / カスパーゼ / S-nitrosylation |
Research Abstract |
ドクソルビシン(Dox)は種々の悪性腫瘍に対して使用される抗癌剤であるが、心筋毒性が報告されている。その原因として心筋細胞アポトーシスの関与が報告されているが、詳細なメカニズムに関する報告は少ない。我々は以前、cyclin A/cdk2キナーゼ活性が、低酸素刺激でのアポトーシスに関与することを報告したが、通常、アポトーシスは細胞質での変化から始まることが知られている。Dox刺激によるアポトーシス制御に細胞局在相違によるcyclin Aキナーゼ活性がアポトーシスに関与するか、また他の制御機構は働いていないかを検討した。ラット培養心筋細胞を用い、10^<-5>-10^<-7>MのDox添加により濃度依存性にアポトーシスが増加することがTUNEL法で確認された。Dox刺激によりcyclin A蛋白は6時間後に最大増加となり、またhistone H1を基質としたcydin Aおよびcdk2キナーゼ活性も同様に増加した。次に細胞内局在を確かめるためにcyclin Aの免疫染色を行った。その結果、心筋細胞では細胞質にcyclin A蛋白が多く、Dox刺激によるアポトーシスに抵抗性を示す心線維芽細胞では、核内にcyclin Aの局在が多いことが判明した。細胞質-核内輸送に関わるImportin蛋白の変化は認められなかった。結論としてcyclin Aの局在の違いによりDox刺激によるアポトーシス感受性の違いをもたらすものと推測された。一方、心筋細胞ではアポトーシス保護作用を有する一酸化窒素(NO)の曝露も関与している。我々はNOがcyclin Aキナーゼ活性を抑制することによりアポトーシスを減少させることを報告したが、NOの詳細な抑制メカニズムは検討されていない。NOの細胞内伝達系はcGMP依存と非依存性に分類されるが、非依存性のメカニズムとしてS-nitrosylationが知られている。S-nitrosylationはリン酸化や酸化などと同様に細胞内では重要な細胞内反応である。NOによるアポトーシス抑制に細胞内局在を調節する蛋白やS-nitrosylationが関与しているかの検討した結果、アポトーシス抑制にS-nitrosylationが関与することが判明した。
|
Research Products
(3 results)