2004 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経抑制と心不全-神経終末機能と細胞間隙ノルエピネフリン動態からの検討
Project/Area Number |
15590730
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 博 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (60151619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能澤 孝 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00180737)
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Keywords | 心不全 / 高血圧 / 交感神経 / 腎臓 / マイクロダイリシス / ノルエピネフリン |
Research Abstract |
心不全における過度の交感神経賦活は心不全の進展を助長し、予後を悪化する。一方、中枢性交感神経抑制薬moxonidineを用いた最近の大規模臨床試験において、心不全における強力な交感神経抑制が予後をかえって悪化させるごとが明らかになった。申請者らも、心筋梗塞後心不全ラットにおいて、末梢性交感神経抑制薬guanethidineの高用量は予後を著しく悪化する一方、低用量では心機能、予後とも改善することを明らかにした(J Am Coll Cardiol 2003;42:541-548)。すなわち、心不全治療において心筋ノルエピネフリン(NE)含量を低下しない程度の交感神経抑制が重要と考えられた。 高血圧や心不全の発症に交感神経活動亢進の関与が知られているダール高血圧心不全ラットにおいて、代償性心肥大期、心不全期と病態の進行とともに心臓NE含量は低下し、心不全期には末梢血の、NEレベルが上昇した。一方、心臓マイクロダイアリシス法を用いて心筋細胞間隙のNEレベルを測定すると、代償性心肥大期、心不全期とも高血圧発症前のレベルと差はなかった。しかし、tyramineでNEの放出を促進すると、高血圧発症前ではその増加は一過性であるが、心不全期ではNE増加が遷延した。これらの結果は心不全における心臓交感神経活動の亢進には、交感神経そのものの活動亢進に加え神経終末のNE取り込み障害によって細胞間隙血NEの高いレベルが持続することが深く関与すると考えられる。また、腎臓においても同様のtyramineに対するNE増加の遷延反応が見られるとともに、心不全期には負荷前に既に細胞間隙NEレベルは高値を示した。このように、交感神経活勲亢進後に心臓および腎臓の細胞間隙のNEレベルの持続が心不全の更なる進行に関与すると考えられる。現在、中枢性交感神経抑制薬clonidineの心不全病態および細胞間隙NEレベルに及ぼす影響について検討している。
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Research Products
(5 results)