2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞の治癒機転に関わる骨髄由来幹細胞の誘導・分化機序の統合的検討
Project/Area Number |
15590767
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上村 史朗 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80232792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
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Keywords | 心筋梗塞 / 骨髄 / 幹細胞 |
Research Abstract |
臨床的検討 本年度においては,急性心筋梗塞(AMI)患者55症例を対象として冠静脈洞血を含めた経時的な採血を実施し,血漿中に含まれるPlGF, VEGF, SCF, GM-CSF, MDC, IL-6などの骨髄細胞の動態に影響を及ぼす可能性のあるサイトカインの推移を検討した.さらに,AMI発症後に骨髄から遊出してくる末梢血単核球およびCD34陽性細胞の推移と測定したサイトカインとの関連性を検討した.その結果,AMI発症後,梗塞心筋からPlGFが産生され末梢血での濃度が健常者の約3.5倍に上昇すること,さらに,血漿PlGF上昇の程度が末梢血単核球分画の増多と有意の正相関を示すことが明らかになった.すなわち,急性心筋梗塞発症後の骨髄細胞の末梢血への遊出にPlGFが重要な役割を担っていることが明らかになった.補助金は,末梢血単核球/CD34測定のためのフローサイトメトリー,サイトカイン測定のための消耗品の購入に使用した.現在,次年度に向けて,上昇したPlGFと臨床像との関連性と検討している. 基礎的検討 本年度においては,C57BL/6を用いて急性心筋梗塞モデルを作成し,梗塞部心筋でのPlGF発現を検討した.梗塞部心筋組織において,PlGFのmRNA/蛋白発現が,sham手術動物に比して,有意な上昇を示すことを確認した.また,PlGFに対する抗体を用いた免疫組織学的検討では,梗塞部にある血管において強いPlGFの発現が認められた.補助金は,マウス飼料費,実験のための消耗品の購入に使用した.現在,心筋梗塞マウスモデルにリコンビナントPlGF蛋白を投与することにより,骨髄像,末梢血分画,梗塞部心筋に起こる変化を検討している.
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