Research Abstract |
【目的】 本研究は,高コレステロール食摂取の心機能に与える影響とアルドステロン合成亢進の関与について検討する. 【方法】 体重約3kgの雄性NZW rabbitを用い,通常餌投与群(C群,n=6)2%高コレステロール食投与群(HL群,n=9)に分け,8週間投与後,血液学的検索,心機能評価(心臓超音波,血行動態測定),組織学的検索を行った. 【結果】 8週間後,投与前と比較し著明なTC, LDL-C, TG, Apo-Eの上昇を認めた(P<0.01).血漿アルドステロン濃度は,高コレステロール食投与前に比べ上昇傾向を認め,コントロール群に比べ有意に上昇していた.体重,心重量,心重量体重比は両群間に有意差を認めなかった.心機能評価では,心臓超音波検査でEF, FSに両群間で有意差を認めなかった.拡張能の指標として測定したE/A, DcTも両群間で有意差を認めなかった.また,PWT, IVSTはHL群でやや上昇していた.また,LVEDPはHL群で上昇傾向を認めた.min dP/dtは両群間で差はなかったが,max dP/dtはHL群で有意に上昇していた.両者の比である+dP/dt/-dP/dtはHL群でやや上昇傾向を認めた.心筋線維化の評価では,HL群で心筋線維化の増加傾向を認めた(P=0.07). 【考察】 高コレステロール血症で心肥大が認められたとする報告はあるが,アルドステロンとの関連については言及されていない.本例ではHW/BWの増加はなく心肥大の形態的な有意な変化は認められなかったものの,血行動態測定においてmax dP/dtの有意な増加を認め,心肥大に伴う心収縮能の増加を示していると考えられた.本例では心肥大傾向および有意な心筋線維化が認められ,コレステロール投与による血中アルドステロンの上昇を認め、これが心肥大,心筋線維化の過程に影響を与えた可能性が考えられた.
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