2003 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症・肺傷害におけるp21の肺上皮細胞保護機能の検討-p21遺伝子導入による遺伝子治療の可能性-
Project/Area Number |
15590813
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩本 直樹 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50315074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昌樹 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (50325461)
桑野 和善 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40205266)
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Keywords | p21 / 肺線維症 / アポトーシス / ブレオマイシン |
Research Abstract |
1.In vitroでのマウス肺胞上皮細胞へのp21遺伝子導入: hp21を発現するアデノウィルスベクターを用いマウス肺胞上皮細胞にhp21を遺伝子導入した。蛋白レベルでは導入後約1-3日間に発現のピークを認め、7日後から減弱した。p21を遺伝子導入した肺胞上皮細胞は細胞周期の解析ではG1 arrestを起こしているが、14日までの観察においてLacZを遺伝子導入したものと比しアポトーシスの誘導比率は変わらなかった。 2.In vivoでのマウスのブレオマイシン肺臓炎モデルへのp21遺伝子導入: マウスに3x10^8pfuのhp21を発現するアデノウィルスを経気管支的に注入した場合、注入後は少なくとも14日間マウス肺にhp21は発現しており、その局在は主に肺胞上皮、肺胞マクロファージであったブレオマイシンの経気管支的注入によってマウスのブレオマイシン肺臓炎モデル作製し、ブレオマイシンの注入後7日目にhp21発現アデノウィルスを経気管的に投与した。14日目のマウスの病理組織標本ではブレオマイシン単独投与群に比し遺伝子導入群においては、肺の線維化は抑制され、肺ハイドロキシプロリンの含量も低下していた。肺胞上皮のアポトーシスをTUNEL染色を用いて評価すると遺伝子導入群では有意にアポトーシス数が減少していた。 以上の結果よりマウスブレオマイシン肺臓炎モデルへのp21の遺伝子導入は、肺上皮細胞のアポトーシスを抑制し、その結果肺線維症を抑制したと考えられる。p21はDNA修復のための細胞周期の調節と抗アポトーシス作用を備えた分子であり、肺線維症の初期病態における肺上皮細胞死の制御を考える上で重要な分子である。肺傷害の主体を肺上皮細胞の死と再生の不均衡という観点から捉え、その不均衡を是正する治療戦略が今後の治療法の進歩に大きく貢献すると考えられる。
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Research Products
(1 results)