2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の発症機構におけるマクロファージの役割の解明と治療への応用
Project/Area Number |
15590850
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
四方 賢一 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00243452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇野 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50165685)
和田 淳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30294408)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 接着分子 / ICAM-1 / 炎症 / DNAアレイ / マクロファージ / ケモカイン / マクロファージ |
Research Abstract |
我々はこれまで、糖尿病性腎症の成因にマクロファージの浸潤をはじめとする炎症メカニズムが関与するのではないかと考えて一連の研究を行ってきた。その結果、糖尿病性腎症患者の腎組織にICAM-1をはじめとする細胞接着分子の発現の亢進とマクロファージの浸潤が見られること、糖尿病発症後きわめて早期にICAM-1の発現が起こり、ICAM-1がマクロファージの浸潤を誘導していることを明らかにした。さらに、ICAM-1 KOマウスではwild typeマウスに比べて糖尿病発症後の腎組織におけるマクロファージの浸潤が極めて少なく、アルブミン尿、糸球体肥大、メサンギウム基質の増加も有意に抑制されることが明らかになった。次に、我々は糸球体硬化が進行した時期のモデルとして5/6腎摘出モデルを用いることを計画し予備的実験を行った。その結果、ICAM-1KOマウスではwild typeマウスに比較して、5/6腎摘出後の糸球体肥大と硬化の進行が抑制されるという結果が得られた。本研究では、ICAM-1 KOマウスとwild typeマウスにストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルと5/6腎摘出モデルを作成して、DNAマイクロアレイを用いて腎組織における遺伝子発現プロファイルを経時的に比較することにより、糖尿病の発症から糸球体硬化への進展過程に関与する遺伝子を解析した。その結果、糖尿病と5/6腎摘出モデルの両者の腎臓において、wild typeマウスでは発現が増加するがICAM-1 KOマウスでは発現増加が抑制される炎症関連遺伝子群を同定することが出来た。さらに、両モデルにおいて類似した発現パターンを示す数種類のケモカインや炎症性サイトカインなどの遺伝子を同定し、RT-PCRと免疫染色でその発現部位を同定した。これらの遺伝子は、糖尿病性腎症に対する新しい治療ターゲット分子となりうる可能性があると考えられる。
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Research Products
(2 results)