2004 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋アクチン結合蛋白発現誘導による高血圧性腎機能障害の進展抑制についての研究
Project/Area Number |
15590860
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉村 吾志夫 昭和大学, 医学部, 助教授 (50211660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 嘉彦 昭和大学, 医学部, 助手 (20343494)
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Keywords | 高血圧 / カルポニン / トランスジェニックラット / 抗Thy-1腎炎 / メサンギウム細胞 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
高血圧性臓器障害の進行においては、血管壁の平滑筋細胞の増殖と遊走を基盤とする血管平滑筋収縮が密に関連する。高血圧性腎障害の進行及びその抑制について検討するために以下の実験を行った。自然発症高血圧ラット(SHR)に平滑筋アクチン結合蛋白である塩基性カルポニン(bCN)を過剰発現させたトランスジェニックラット(bCN-SHR)を作成し、血圧の変化に及ぼす影響を検討するとともに、bCN-SHRに抗Thy-1腎炎を惹起しその糸球体障害の評価を行った。bCN-SHRではwild typeのSHRに比し、生後8-11週の期間における収縮期圧の低下を確認し、bCNの発現による血管平滑筋収縮の抑制を介する降圧効果が期待でき、bCNを用いた高血圧治療の新たな可能性を見出したものと考えられた。bCN-SHRにおける抗Thy-1腎炎ではwild typeのSHRに惹起した場合に比し、day 2,day4におけるメサンギウム細胞の増殖および形質転換などの早期病変とその後の硬化性病変進展への抑制作用を明らかにし、メサンギウム細胞の活性化・増殖の抑制が高血圧性症腎障害の進行阻止の治療法となりうることを証明した。また、bCN-SHR及びwild typeのSHRからメサンギウム細胞および血管平滑筋細胞を分離、培養系を確立した。bCNを過剰発現したこれらの細胞の特性を検討しているが、現時点においてbCNを過剰発現させるとメサンギウム細胞は種々の増殖因子、とくに血小板由来成長因子B鎖(PDGF-B)による増殖反応が著明に抑制されることが判明した。PDGF-Bは糸球体障害に関与する最も重要なメディエーターの1つであり、高血圧性腎障害のみでなく通常の糸球体障害においてもbCNを用いた治療の可能性が示された。
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Research Products
(4 results)