2003 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリン受容体発現を介した尿細管間質障害の検討
Project/Area Number |
15590866
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中西 健 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (70217769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高光 義博 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90107053)
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Keywords | 鉄輸送 / Transferrin receptor / ferroportin 1 |
Research Abstract |
鉄代謝と尿細管機能障害の関係についての予備調査として、ヒト由来でかつ比較的容易に採取できる多核白血球における鉄代謝を血液透析患者において測定し、多核白血球機能低下との関係を検討した。血液透析患者17名および年齢を一致させた健常者17名を対象とした。高ferritin血症などの明らかな鉄過剰徴候を認めない血液透析患者においても多核白血球中に鉄が過剰に存在することを明らかにした。次に遺伝子および蛋白レベルにおける鉄輸送蛋白の発現および多核白血球機能について検討した。遺伝子レベルの発現はTaq-Man Real time PCR法を用いGAPDHに対する相対値として半定量を行った。蛋白レベルの発現については、免疫蛍光染色法およびWestern blot法を用い検討した。多核白血球機能として、貧食能、殺菌能およびf-MLP刺激によるlactoferrin(Lf)、myeloperoxidase、elastaseの細胞外への分泌能を測定した。血液透析患者では、健常者に比し細胞への鉄取り込み蛋白であるtransferrin receptorは、遺伝子レベルおよび蛋白レベルともにその発現は増加しており、細胞からの鉄汲み出し蛋白であるferroportin 1の発現は遺伝子レベルおよび蛋白レベルともに低下していた。これらの結果より鉄輸送蛋白の制御異常が細胞内の鉄過剰の原因となっている可能性を明らかにした。血液透析患者においても顆粒分泌能の一つであるLf分泌は低下しており、Lf分泌が多核白血球中のferritin濃度と負の相関を示すことを明らかにし、細胞内の鉄過剰がLf分泌低下を引き起こす可能性を示唆した。本検討は、血液透析患者などのサイトカインレベルが高い状態では、細胞レベルにおいて鉄輸送蛋白の制御異常があり、鉄の蓄積を惹起する可能性があることを示唆する報告である。
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Research Products
(1 results)