2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリン受容体発現を介した尿細管間質障害の検討
Project/Area Number |
15590866
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
中西 健 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70217769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀧 慶長 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (40388814)
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Keywords | 鉄輸送 / Transferrin receptor / ferroportin 1 / 尿細管間質障害 |
Research Abstract |
腎機能障害の進行と尿細管・間質障害の関連性について報告されているがその機序は不明である。特に蛋白尿の出現は間質障害を介して腎機能低下と関連することが報告されており、アルブミンに結合した脂質の関与などが提唱されてきた。蛋白尿の存在する場合には大量のトランスフェリンも尿中に排泄され一部は尿細管から再吸収されている。トランスフェリンに結合した3価鉄が近位尿細管で再吸収されることになるが、その尿細管への影響は酸化ストレスの増大を介することが想定される。また、多くの含硫アミノ酸は蛋白に結合しており、cysteine(Cys)およびhomocysteine(Hcy)などが遊離すると酸化ストレスを増大させ尿細管障害を惹き起こすことが考えられる。本年度の研究では、CysおよびHcyが遷移元素である銅を追加することにより酸化ストレスを介して近位尿細管由来培養細胞に与える影響を検討した。LLC-PK1細胞において、培養液中にCysおよびHcyとさらに銅(Cu)を添加した条件で、細胞からのLDH release、TBARS(thiobarbituric acid reactive substance)を測定するとともに、hydroxylradical(HR)および過酸化水素の産生、細胞内GSH濃度測定を行なった。Cys+Cuの条件下においてcontrol, Cys, Hcy, Hcy+Cuに比して高度の細胞障害性とTBARS増加が認められ、これらの増加はHRおよび過酸化水素の産生増加と一致していた。このことから、CysとHcyではその尿細管細胞への障害性が異なり、特にCuの存在が酸化ストレスを介して細胞障害性に強く関与していることを明らかにした。また、同時に行なった鉄輸送の予備的検討では、ヒト近位尿細管上皮細胞(RPTEC)における鉄取り込み蛋白であるtransferrin receptor(TfR)やdivalent metal transporter 1(DMT1)および鉄汲み出し蛋白であるferroporrin1(FP1)発現を証明し、ferroportin1(FP1)発現がtumor necrosis factor-α(TNF-α)、interleukin-6(IL-6)、Angiotensin IIにより抑制されることを見いだしており、今後さらにトランスフェリンに結合した3価鉄とその鉄の囲い込みによる酸化ストレスの亢進により尿細管・間質障害が進展する可能性について検討していく。
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Research Products
(1 results)