2003 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害、加齢による糸球体内皮細胞障害の解析と治療法開発
Project/Area Number |
15590867
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 環 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30187124)
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Keywords | 活性酸素 / 一酸化窒素 / アンジオテンシンII / NADPH oxidase |
Research Abstract |
多彩な成因による進行性腎障害、並びに加齢に伴う腎障害の共通基盤としての糸球体内皮細胞障害のメカニズムを、活性酸素(ROS)と一酸化窒素(NO)の不均衡に焦点をおいて解明を試みた。さらに、ROS、NO不均衡是正による腎疾患治療法の可能性を検討した。 まず、疾患腎糸球体におけるROS、NO不均衡による組織障害とそのメカニズム解析を行った。 (1)「in vivo可視化法」によるROS、NO不均衡の解析 細胞内で活性酸素と反応し緑色蛍光を発するDichlorofluorescein-diacetate(DCFH-DA)、及び一酸化窒素と反応し、赤色蛍光を発するDiaminorhodamine-4M(DAR-4M)を用いる。両者及び一定濃度Caイオン、L-Arginineを含む灌流液をラット心腔内より微量ポンプにより投与する。摘出腎スライスを共焦点レーザー顕微鏡で異なる波長下で観察するとROS、NOを可視化し検出する事に成功した。 ラット5/6腎摘(Nx)モデル4、8wで糸球体内でROS増加、NO低下を認めた。高血圧性腎障害モデルとしてDahl食塩感受性(Dahl)ラット、糖尿病モデルとしてSTZ糖尿病(STZ)ラットを使用し、同様の所見を認めた。 (2)ROS、NO不均衡、産生異常のメカニズム解析 ROS産生系:angiotensin II(AII)-NADH/NADPH oxidase系の関与の検討 NADH/NADPH oxidaseのcomponentであるp22 phox, p47 phoxが糸球体に存在する事を確認した。疾患糸球体における発現変化をWestern解析,Northern解析で評価したところ、上記疾患モデルにおいて各componentの増加を認めた。AIIによる糸球体細胞からのROS産生増加を認めた。また疾患腎より単離した糸球体を用いて、AT1受容体拮抗薬(ARB)、AT2受容体拮抗薬(PD123319)、NADH/NADPH oxidase阻害薬(Diphenylene Iodinium:DPI)を用いて産生機構を解析した。その結果、NADH/NADPH oxidaseの経路が主として関与していることが判明した。 また腎組織において脂質(脂質過酸化物HNEの免疫組織評価),蛋白(Western解析による蛋白carbonyl化の評価)、核酸(尿中8-OHdG定量、8-OHdG免疫組織)の酸化的修飾を認めた。
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