2004 Fiscal Year Annual Research Report
セルロプラスミン遺伝子異常症における変異蛋白発現と鉄関連蛋白動態の検討
Project/Area Number |
15590885
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
宮嶋 裕明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90221613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良知 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90303560)
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Keywords | セルロプラスミン / 遺伝子変異 / 遺伝子発現 / 小胞体 / 鉄 / ヘテロ接合体 / ミスセンス変換 / loss-of-function |
Research Abstract |
無セルロプラスミン血症は、血清のセルロプラスミンの欠損と、脳・肝・膵をはじめとする全身の諸臓器への鉄の沈着を来し、神経症状、網膜変性、糖尿病を呈する常染色体劣性遺伝の鉄代謝異常症で、我々が1987年に世界で初めて一家系を報告した。我々の症例を含め現在までに国内外48家系が報告されている。従来報告された遺伝子異常の多くはtruncatiormutationであったが、最近ミスセンス変異が次々と報告されている。さらに、ホモ接合体だけでなく、ヘテロ接合体においても症状の発現する場合があり、従来報告してきたようにセルロプラスミン遺伝子異常症はloss-of-functionだけで説明がつかなくなってきている。 培養細胞を用いたミスセンス変異の発現実験の結果、セルロプラスミンの分泌障害の機序として、変異セルロプラスミンは、1)小胞体に蓄積する変異、2)銅の抱合が障害され活性型のホロセルロプラスミンが形成されない変異、3)ポロ蛋白が分泌されるがフェロキシダー活性が無い変異の3っに分類された。小胞体蓄積型の変異は、われわれが見出したセルロプラスミン蛋白の6つのGLI(IL)GPのアミノ酸繰り返し配列に集中して存在し、同部の配列の人工的な変異を作成して発現実験を行ったところ、小胞体に蓄積することをすでに確認している。今回、この小胞体蓄積型変異を持つ症例は発症年齢が若年で、しかも重症であることが多く、さらにヘテロ接合体でも症状を発症することを臨床的に確認した。また今回の培養細胞を用いた遺伝子発現実験より、GLI(IL)GP配列がセルロプラスミン蛋白の小胞体からゴルジ小体への細胞内輸送に関係する重要な繰り返し配列であり、変異セルロプラスミン蛋白が小胞体機能障害を介した細胞障害を来し得ることを明らかにした。すなわち、本疾患の病態はセルロプラスミンの欠損によるloss-of-functionの性質だけでなく小胞体機能障害に由来する細胞障害の性質を持っているものと予想された。
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Research Products
(5 results)