2004 Fiscal Year Annual Research Report
αシヌクレイン関連神経変性疾患における分子シャペロンの役割
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15590887
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 恭裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40335253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋口 一郎 龍谷大学, 健康管理センター, センター長 (30115779)
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Keywords | 14-3-3蛋白 / 分子シャペロン / αシヌクレイン / 筋萎縮性側索硬化症 / Lewy小体様硝子様封入体 / アストロサイト / クロイツフェルト・ヤコブ病 / 免疫組織化学法 |
Research Abstract |
14-3-3蛋白は、リン酸化されたセリンあるいはスレオニン残基を有する標的蛋白に結合し、様々な細胞内情報伝達に関与している分子シャペロンである。パーキンソン病や多系統萎縮症は、脳内にα-synucleinが蓄積する神経変性疾患であるが、14-3-3蛋白がこれらの疾患脳内においてα-synucleinと共存していることを、免疫組織化学的手法を用いて確認し、報告してきた。今回我々は、家族性パーキンソン病に関連した変異型ヒトα-synuclein(A53T)のトランスジェニックマウス脳を検討し、α-synucleinと14-3-3蛋白が共存していることを蛍光二重標識法にて観察し、現在解析中である。次に、他の神経変性疾患として、筋萎縮性側索硬化症に注目し、残存運動ニューロン内のLewy小体様硝子様封入体において、14-3-3蛋白が存在することを孤発例において見出した。対照的に、Bunina小体は免疫反応陰性であった。SOD1異常をもつ家族性筋萎縮性側索硬化症の1例においても、同様の結果を確認した。アルツハイマー病の神経原線維変化にも14-3-3免疫活性が存在することがすでに報告されているが、14-3-3蛋白は、種々の神経変性疾患の封入体形成に関与しているシャペロン蛋白であると推測された。一方、我々は、多発性硬化症や進行性多巣白質脳症の脱髄病変においてグリア細胞、特に反応性アストロサイトに強い14-3-3免疫活性が発現していることを見出したが、さらに今回クロイツフェルト・ヤコブ病の脳内においても、反応性アストロサイトに強く誘導されることを確認した。クロイツフェルト・ヤコブ病患者の髄液中で14-3-3蛋白が上昇することが報告されているが、神経細胞の比較的急速な崩壊に加えて、アストロサイトへの異常な集積が、髄液中の上昇に関与しているものと推測された。最近GFAPとvimentinが14-3-3蛋白の標的であることが報告されており、種々の病変部位において、14-3-3蛋白がこれらの中間径フィラメントに結合し、アストロサイトの機能調節に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)