2003 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いたアルツハイマー病モデルニューロンの新規作成法の研究
Project/Area Number |
15590907
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
喜多 淑子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00327496)
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Keywords | ES細胞 / アルツハイマー病 / ノックイン / 分化誘導 / 疾患モデル |
Research Abstract |
昨年までに、遺伝子ターゲッティング技術による家族性アルツハイマー病変異(V642I-APP)ノックインES細胞株の樹立と、ES細胞の高効率in vitro神経分化誘導法とを組み合わせることでアルツハイマー病の遺伝子型を有した高純度の神経細胞を培養皿の上に作成することに成功した。この神経細胞は野生型ES細胞由来の神経細胞と比較してアミロイドβ42の産生が亢進している、すなわちアルツハイマー病の表現型の少なくとも1つを有していることが明らかとなったが、平成15年度は更に、家族性アルツハイマー病変異導入に起因した神経細胞死の有無をTUNEL法により調べると共に、神経原繊維変化に関係したタウの過リン酸化の有無を、抗リン酸化タウ抗体を用いた細胞染色により検討した。 その結果、全細胞核中のTUNEL陽性の核の割合は野生型及びV642I-APPノックインにおいて同様のタイムコースで増加した。これは家族性アルツハイマー病変異導入に起因した神経細胞死は少なくとも最終分化誘導後3週目までは起こらないことを示唆している。 一方、タウのリン酸化は、胎児期にみられる生理的な過リン酸化が一過性に認められたが、神経原繊維変化に関係したタウのリン酸化は最終分化誘導後6週目まで検出されなかった。 これらの技術と発見をカニクイザルES細胞に応用し、効率的なニューロン作成法の確立を目指すべく取り組んでいるがカニクイザルES細胞は、マウスES細胞と比較して培養上困難な点が2点ある。一つは凍結保存した細胞を解凍・再培養する際の生存率が極めて低いため、良好な凍結ストックを作成することが困難であること、一つは細胞を単一細胞にしてしまうと増幅が難しく、遺伝子導入したクローンの選択が困難であることである。これら困難を克服するため、まず販売元である旭テクノグラスが開催する講習会に参加し、基本的技術を改めて習得しようとしている。
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Research Products
(1 results)