2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症原因遺伝子変異体による神経細胞死機序の解明
Project/Area Number |
15590908
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新倉 貴子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10301491)
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Keywords | 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経細胞死 / スーパーオキシドジスムターゼ / ALS2 / Alsin |
Research Abstract |
スーパーオキシド・ジスムターゼ1(SOD1)は、家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)の原因遺伝子のひとつで、100種以上のFALS型変異が報告されている。変異SOD1は何らかの毒性機能を獲得することで発症に関与すると考えられている。本研究では、孤発性ALS患者から最近同定された新たな変異N19S(第19アスパラギンのセリン置換)に着目し、この変異体とALS発症との関連性をin vitroで解析した。FALS型SOD1変異体と同様にN19S-SOD1を培養運動神経細胞に発現させると細胞死が誘導されたが、その細胞死率はFALS型変異体よりも低かった。さらに、FALS型SOD1の共通の毒性要因と考えられ野生型では起こらない変異体蛋白質の凝集化や多量体化も、N19S変異で観察され、FALS型変異体よりもその程度が低いことが分かった。すなわち、N19S-SOD1は弱い細胞毒性を有することが明らかとなった。加えて、N19S-SOD1発現細胞を酸化剤や蛋白質分解の阻害剤で処理すると、未処理のFALS型変異体と同等の蛋白質凝集化や多量体化が認められた。これらの結果から、N19S変異による細胞毒性は、単独ではALS発症の十分な毒性要因となはならず、外因性ストレスの負荷で毒性が促進されてALS発症の要因となると考えられた(投稿準備中)。 また、FALSの劣性遺伝性原因因子alsinの結合蛋白質の解析により、alsinが脳の発生等に必須の分子を制御する機能を持つことがわかり、現在詳細に検討中である。これらの研究と同時に、細胞死抑制因子ADNFが、FALS型SOD1変異によるin vitroでの神経細胞死やモデルマウスのALS発症を抑制することを明らかにした(JNR2004)。さらに、Aβによる健忘モデルマウスでの細胞死抑制因子Humaninの健忘阻止効果を検証しその結果を発表し準(JNR2005)。
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Research Products
(6 results)