2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈の中膜退行変性におけるNotch3受容体機能に関する研究
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15590920
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高橋 慶吉 国立精神・神経センター, 疾病研究第六部, 室長 (40117148)
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Keywords | 血管性痴呆 / Notch3 / シグナル受容体 / 血管平滑筋 / CADASIL / 白質脳症 |
Research Abstract |
CADASILは血管平滑筋変性と蛋白成分の沈着を特徴とする家族性疾患であり、その原因遺伝子が同定された唯一の脳血管性痴呆症である。本研究では脳血管中膜変性のメカニズムを明らかにするために原因遺伝子Notch3受容体を導入した安定発現細胞株を樹立して、受容体の活性化機序・シグナル伝達に対する遺伝子変異の影響を解析した。また、CADASILモデル動物として変異Notch3を導入したノックインマウスの作成を行った。先ず、Notch3の活性化には少なくとも2種類の限定分解(プロセシング)が関与することが判明した。第一のプロセシングは細胞外部位で起こり、受容体の細胞内輸送や活性型分子の形成に関与し、第二のプロセシングはリガンド結合後に膜貫通ドメイン内で起り、シグナル伝達に必須であった。しかし、これらのプロセシング及びシグナル伝達活性は野生型と変異Notch3の間に差異がないことが判明した。この結果は変異Notch3が正常なシグナル伝達活性を持つことを示し、Notch3の機能よりも変異蛋白質自身が獲得した新しい性質が血管平滑筋変性の鍵となっていると考えられる。一方、ノックインマウスはES細胞を用いて相同組換え法により作成した。マウスは外見上は正常であり、その遺伝子変異は発生等に影響を与えないことが判明した。また、52週齢マウスの組織学的検索では野生型マウスと比較して著明な差異は認められていない。現在、詳細な組織学的検査を実施中である。
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Research Products
(1 results)