2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規転写因子Otx3による糖代謝調節の分子メカニズム
Project/Area Number |
15590929
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木 隆司 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50302568)
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Keywords | Otx3 / ホメオドメイン / 転写因子 / Otx2 / 代謝制御 |
Research Abstract |
Otx3は中枢神経系や膵島に発現するホメオドメイン型の転写因子である。我々はOtx3の役割を明らかにする目的で生化学的特性とOtx3ノックアウトマウス(Otx3-/-)の表現型の解析を行った。(1)分子生化学的特性の解明:Otx3は標的2本鎖DNAの存在下で、Otx2と強固なヘテロダイマーを形成することが示された。またレポーターアッセイやpull downアッセイの結果、Otx2との結合が低下したOtx3の変異体ではOtx2に対する転写抑制機能が低下していることが判明した。E10.5マウス胎児のin situ hybridizationでOtx2とOtx3はいずれも発生中の神経上皮に発現しており、両者が相互作用を介して機能していることを支持する結果であった(Kimura et al, FEBS Lett, 2005)。(2)Otx3-/-の表現型解析:Otx3-/-は生存可能であり、脳の前後軸を決定するマーカー分子の発現パターンをはじめ、明らかな脳の形態異常は認められなかった。しかしOtx3-/-は短期の絶食により明らかな低血糖を示すことが明らかになった。経口糖負荷試験ではインスリン分泌反応が野生型に比較し有意に低下しておりOtx3の糖代謝機能制御への寄与が示唆された。さらに検討したところ、Otx3-/-では全身の脂肪蓄積が減少し、インスリン感受性が亢進していた。また、Otx3-/-ではやせにもかかわらず摂食量はむしろ減少していた。Otx3が膵島以外では中枢神経系でのみ発現することから、これらの表現型は中枢神経系のOtx3の機能障害によるものと考えられた。以上の結果から、(1)Otx3はOtx2との相互作用が考えられるものの、Otx2が機能するためにはOtx3は必須の分子ではないこと、(2)Otx3はOtx2に対する抑制効果とは別の機能を有し特にエネルギー代謝制御に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)