2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子モーターがインスリン依存性にGLUT4小胞を捕捉する機構の解明
Project/Area Number |
15590940
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
江本 政広 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50294640)
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Keywords | インスリン / 脂肪細胞 / 分子モーター |
Research Abstract |
脂肪細胞での糖代謝において、インスリン作用の最終作動分子(糖を細胞内に取り込み血糖を低下させる分子)は糖輸送担体であり、これを含む膜輸送の分子メカニズムは、糖尿病病態を考える上で重要である。 平成16年度の研究から得られた新知見は以下のとおりです。 (1)Unconventional myosinに属する分子モータを脂肪細胞から同定したが、これはインスリン作用を阻害するシグナル経路である、TNF-alphaのシグナルに重要であることが判明した。すなわち、myosinのdominant negative型を脂肪細胞に過剰に発現させるとTNF-alphaを加えてもインスリン作用は抑制されず糖の輪送が正常に行われる。これは、モータのノックダウン(SiRNA法による)の実験系でも確認された。myosinと結合するシグナル分子(リン酸化酵素の一つ)の同定にも成功し、インスリン作用を抑制するTNF-alphaシグナル経路の分子メカニズムも明らかとなりつつある。 (2)前年度にGLUT4小胞に含まれる蛋白質として同定されたp60蛋白質であるが、これはカベオリンラフトにGLUT4蛋白質を移動させるが、ATP活性を示さず分子モータでないことが明らかとなった。しかしながら興味あることに、SNARE関連蛋白質と細胞内AMP濃度依存性に結合し、GLUT4のエンドサイトーシスに重要であることが判明した。 (3)脂肪細胞において、GLUT4小胞を輸送させるカイネシンモータは、ついに同定できなかった。 平成16年度において、(1)と(2)は日本糖尿病学会学術総会にて一部を発表、(1)については2005年度米国糖尿病学会annual meeting (San Diego, CA)にてその一部を発表の予定である。現在細部を確認し、論文として研究を報告すべく最終調節中である。
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