2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖化コラーゲンとその受容体の血管平滑筋細胞機能と側副血管形成に対する影響
Project/Area Number |
15590953
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小山 英則 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80301852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00115198)
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Keywords | 糖尿病 / 血管新生・血管形成 / 糖化蛋白(AGE) / RAGE / 血管平滑筋細胞 / 細胞外マトリックス / コラーゲン / 血管新生調節因子 |
Research Abstract |
糖尿病患者および糖尿病モデル動物においては、動脈狭窄・閉塞による虚血組織の側副血管形成が抑制されていることが報告されている。しかしながら、糖尿病状態における血管形成障害の分子細胞学的機序は明らかでない。今回の研究課題において我々は、糖化蛋白(advanced glycation endproducts, AGE)とその受容体(receptor for AGE, RAGE)の糖尿病環境における血管平滑筋細胞(SMC)機能及び血管形成障害との関連を検討した。GlycolaldehydeによりAGE化した繊維性I型コラーゲン(AGEコラーゲン)上では、SMCの遊走能は,対照の繊維性I型コラーゲンと比べて著明に抑制されていた。このAGEコラーゲンの抑制作用は、aminoguanidineによる糖化反応の抑制により消失した。コラーゲン受容体の発現を解析した結果、AGEコラーゲン上ではSMCのα2インテグリンが減少しαvインテグリンが上昇していたが、αvβ3インテグリンの阻害抗体を用いてもAGEコラーゲンの作用は抑制できなかった。AGEコラーゲン上では、血管新生促進因子であるvascular endothelial growth factor(VEGF)の遺伝子発現・分泌が著明に低下し、反対に血管新生阻害蛋白であるthrombospondin-1の遺伝子発現が著増していた。プロモーター解析によるとAGEコラーゲンによる両遺伝子発現は、転写レベルで調節されていた。他の血管新生促進因子であるbasic fibroblast growth factor、hepatocyte growth factorの発現は有意な変化を示さず、angiopoietin-1の発現はAGEコラーゲンにより促進されていた。in vivoにおける血管形成を検討するため、streptozotocin糖尿病マウスにVEGFを含むmatrigelを移植し、血管細胞の侵入を検討した。糖尿病マウスでは対照マウスに比べてα-actin陽性のSMCまたは周細胞数の侵入は25%低下し、同様にCD31陽性内皮細胞の侵入も低下していた。このような糖尿病マウスにおける血管細胞のmatrigelへの侵入低下はRAGE欠失マウスでは認められなかった。さらに、AGE-RAGE系を抑制する分泌型RAGE(esRAGE)をアデノウイルスにより過剰発現させることにより、糖尿病マウスにおける血管細胞のmatrigelへの侵入低下は回復した。以上の結果よりAGE-RAGE系は糖尿病による血管形成障害に深く関与することが示された。
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Research Products
(6 results)