2004 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞の機能再生を応用した糖尿病治療への新たなる戦略
Project/Area Number |
15590955
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
石田 均 杏林大学, 医学部, 教授 (80212893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
片平 宏 杏林大学, 医学部, 助手 (20327472)
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Keywords | インスリン分泌 / 酸化ストレス / PPARγ / チアゾリジン誘導体 / db / dbマウス / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
2型糖尿病に認められるインスリン分泌不全に対するPPARγアゴニストのピオグリタゾンの効果とその機序について検討を加えた。肥満2型糖尿病のモデル動物であるdb/dbマウス(10週齢)に15mg/kgのピオグリタゾンを6週間にわたり投与した。対照マウスとともに血糖値、インスリン、血清脂質を測定したのち膵ラ氏島におけるインスリン含量ならびにグルコース刺激に対するインスリン分泌能について検討を加えた。さらに膵β細胞内での酸化ストレスの変化を測定する目的で、そのマーカーとして広く用いられている4-hydroxy-2-nonenal(HNE)修飾蛋白ならびにheme oxygenase-1(HO-1)の抗体を用いて免疫染色し、そのdensityを定量化した。その結果ピオグリタゾンによる治療はdb/dbマウスの高血糖、空腹時高インスリン血症ならびに高脂血症を改善させるとともに膵ラ氏島におけるインスリン含量を有意に回復させた。そして同時にグルコースに対するインスリン反応についても明らかな回復が認められた。また膵β細胞の酸化ストレスマーカーに関しても、未治療のdb/dbマウスに認められた膵β細胞でのHNE修飾蛋白ならびにHO-1の染色性を、ピオグリタゾン治療は有意に減少させた。以上の成績よりPPARγアゴニストのピオグリタゾンは肥満2型糖尿病のdb/dbマウスの代謝状態を改善させるとともに、膵β細胞機能に対し保護的は作用を有することが明らかとなった。またその機序として、ピオグリタゾンは糖尿病状態下の膵β細胞内で増大している酸化ストレスを明らかに軽減させ、その結果グルコース刺激に対するインスリン分泌機能を再生し得ることが示された。今後、膵β細胞の機能再生を担う分子機構の解明が必要である。
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Research Products
(6 results)