2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞の機能再生を応用した糖尿病治療への新たなる戦略
Project/Area Number |
15590955
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
石田 均 杏林大学, 医学部, 教授 (80212893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
片平 宏 杏林大学, 医学部, 助手 (20327472)
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Keywords | 膵β細胞 / インスリン分泌 / グルカゴン分泌 / PPARγ / UCP-2 |
Research Abstract |
膵β細胞機能に及ぼす核内受容体peroxisome proliferator-activated receptorγ(PPARγ)の役割について検討を加えた。Wistar系ラットより膵ラ氏島を単離し、PPARγの発現をRT-PCRにより確認した。次いで、アデノウィルスベクターを用いて膵ラ氏島にPPARγを過剰発現させ、インスリンならびにグルカゴン分泌に対する影響について検討を加えた。その結果PPARγ過剰発現は種々の刺激濃度(8.3-16.7mM)のグルコース刺激に対するインスリン分泌を有意に抑制した。また高濃度K^+による脱分極刺激に対するインスリン分泌も同様に有意に抑制された。一方、脱分極刺激に対するグルカゴン分泌には明らかな影響を及ぼさなかった。そこで膵ラ氏島中のインスリンならびにグルカゴン含量について比較検討したところ、PPARγ過剰発現群と対照群との間には有意差を認めなかった。さらに膵β細胞の機能障害の成因を明らかにするために、膵ラ氏島でのuncoupling protein-2(UCP-2)の発現をwestern blottingにて比較検討したところ、PPARγ過剰発現によりUCP-2蛋白発現の明らかな増加が認められた。以上によりPPARγ過剰発現による効果は膵β細胞機能に対し特異的であり、またその作用部位はインスリン分泌顆粒の放出系に存在すること、そしてUCP-2の増加にともなうミトコンドリアでの電子伝達系を介したATP生成能の低下が、インスリン分泌障害の少なくとも一つの要因である可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)